ひそかに阪神岡田彰布監督の胴上げに注目していた。回数ではない。選手やコーチ、スタッフの体の向きが気になっていた。 18年ぶりの「アレ」を達成した際はセ・リーグ優勝回数にちなんで6度、宙を待った。38年ぶりの日本一まで上りつめた今回は5度、体が浮いた。 「1回目で慣れたのか、だいぶ上がってましたね。全然違いました」 指揮官は日本一会見で変化を強調したが、変わらなかった部分もある。円を作った選手たちの体はまたも皆、中心を向いていた。 リーグ優勝時の胴上げを目に焼きつけた時、過去の記憶との差異に気付いた。胴上げの中心地とは逆のセンターカメラを向いてジャンプするなど、“個別行動”を楽しむ選手が23年阪神には1人もいなかった。 なんとなく興味深くて取材したところ、謎はあっさり解明できた。選手やスタッフは胴上げの一体感にもこだわり、事前にベストな形を共有していたそうだ。 結果、誰1人欠けることなく全員