繁華街の道端でボーっとしていた昼下り、気になる女の子がいた。 こちらに背を向けて歩いていたので、顔は見えない。 ツインテール、制服に腰巻きカーディガン、そして目をひく左手首の包帯は特徴的だが、日曜の繁華街においてはそう目立つ格好ではない。 手首のそれはファッションなのか、それとも本物なのか、メンがヘラっていない私には判別できない。 なんとなく、いわゆるオタサーの姫に適正がありそうだな、と思った。 気が向いたので尾行してみることにした。 10mほど間隔を開け、速度を合わせ、間に人を挟んで歩く。 意外と人間は視線に敏感らしいので、視線を彼女だけに集中しないことに気をつける。 後をつける道中、考えることはもちろん目の前の彼女のことだ。 1人のようだが友達はいるのか、何が目的で繁華街にいるのか、何故日曜に制服を来ているのか、手首の包帯の下はどうなっているのか、答えを勝手に想像しては1人ほくそ笑む。