大手ノンバンク「クレディセゾン」の子会社で、東証1部上場の不動産会社「アトリウム」(東京都千代田区)の高橋剛毅(つよき)社長(63)が、自社から約20億円の融資を受けてストックオプション(自社株購入権)で生じた所得税の支払いなどに充てていたことが分かった。株価低迷で担保の株の評価が下落し、ア社は貸し倒れ引当金11億円を計上した。会社に多額の損害を与える可能性があり、専門家は「上場企業としては前代未聞のお手盛り融資」と厳しく批判している。【小林直、堀文彦、鈴木一生】 ア社によると、高橋社長は事前に定めた価格(権利行使価格)で自社株を取得できるストックオプションの権利を04年1、12月に会社から付与され、06年4月と07年3月に権利行使し計108万株を取得した。株価は当時3310~3933円で、売却すれば権利行使価格(1株約200円、総額約2億円)との差額約39億円の利益を手にできた計算になる