「茨城の人は1Gbps分の帯域を使えないままだ」――東京科学大学 教授の藤井輝也氏はそう嘆く。一部の衛星通信と携帯電話の電波が重なる課題は、長年にわたって業界を悩ませてきた。 この根深い課題を一気に解決できそうなのが、東京科学大学とソフトバンクが共同開発した「システム間連携与干渉キャンセラー」だ。本来はまったく別々に運用されてきた衛星通信と携帯電話という2つのシステムをあえて“連携”させる新しい発想によって、周波数干渉の問題を根本から解決しようとしている。 携帯基地局が使う5Gのサブ6周波数帯の一部、いわゆる「Cバンド」は、衛星通信の周波数帯と重なっている部分がある。その結果、地球局(大型のパラボラアンテナを備えた衛星通信の拠点)で受信品質が大きく損なわれる恐れが生じ、携帯キャリアは基地局の出力を大幅に落とすか、少なくとも地球局から50kmも離れた場所にしか設置できないという厳しい条件を課
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