16世紀のネーデルランド地方(現在のベルギー、オランダ付近)で生まれた画家、ピーター・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude / 1525頃-1569年)が描いた「盲人の寓話」 (The Parable of the Blind Leading the Blind / 1568 / Museo Nazionale di Capodimonte, Naples ナポリ、カポディモンテ国立美術館 ) を見ていると、複雑な思いをさせられる。この絵は6人の盲人が互いに連なって歩いていて、先頭を歩く者が穴に落ちて転んでいるのに、あとに続く人たちが危険が迫っていることに全然気づいていないシーンである。 穴に落ちた先頭の者とそのすぐ後の二人は突然の出来事に困惑しているが、三人目は何か先で異常事態が起こったことは分かっても、状況は理解できていない。さらにその後の人は先の様子が全然分かっ