いい映画でした。原作を愛する者としては期待より不安の方が大きかったんですが、とても見事にあの作品に色をつけ、動かしていました。以下にあれこれ書いてはいますが、素晴らしい、価値ある映画だったことは間違いありませんでした。感動しました。 以下、若干のネタバレを交えつつの感想です。 ほぼ原作どおりで、時間の進行も同様でしたが、大きな違いは物語のスタート。原作より1ヶ月早く、昭和8年12月からスタートします。そのおかげで(?)、あまり知らない「昭和初期のクリスマス風景」が見られました。今と変わらぬ、平和で賑やかな日々。 原作は雑誌連載もので、短いエピソードがほぼ同じページ数で連なっています。映画もほぼそれに沿った形で進行し、連載の「落ち」も律儀に描いていました。紙に描かれたコミックだから成立していたこの手法ですが、まさに「時間が一方向に向かって進行する」長編映画だとその丁寧さと律儀さが逆に単調な繰