本展開催までの経緯 すべては2008年秋、Chim↑Pomが作品制作のため広島の原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」と書いたことからはじまりました。 この行為は、多くのメディアで報じられるとともに、ネット上ではバッシングが起こり、被爆者団体代表を前にChim↑Pomが謝罪会見を行なうまでの社会的騒動となりました。予定されていた広島市現代美術館での個展も「自粛」というかたちで中止となり、Chim↑Pomは、作品として発表する機会を奪われたことで、その意図を伝えるべき手段をいったんは失いました。 東京に戻ったChim↑Pomは、一連の騒動を検証した本『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』の制作に着手します。そして、その書籍のための原稿執筆と座談会参加の依頼のとき、初めて美術評論家の故・針生一郎氏に会うことができました。座談会後に、原爆の図丸木美術館の館長でもあった針生氏がふともらした「