麻生太郎首相がサハリンを訪問し日露首脳会談が行われた。日露両首脳は北方領土問題を「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」で解決することで合意した。しかし、実質的な進展はなにもなかったという見方もある。今回は、この日露首脳会談を検証してみたい。日本は本来ロシアに対して強い交渉力を持っているはずだが、今回の首脳会談ではそれを生かせなかった、というのが私の主張である。 石油ブームで高飛車だったロシア 世界同時不況が起こるまで、ロシアは原油高騰によって、空前の石油ブームに沸いていた。中国・インド・その他の国々の経済発展により石油需要は増加しつづけ、その石油代金を蓄積し外貨準備高は中国、日本に次ぐ世界3位に達していた。 そして、ロシアは国際社会で高飛車な態度を取っていた。BPなど欧米オイルメジャーをロシアから追い出して自国の資源を独占しようとしたり、グルジアへの軍事侵攻やウクライナへの天然ガス供給