全てディープステート(闇の政府)の仕業だ――。そんな言説が、昨秋の米大統領選にとどまらず、新型コロナウイルスや有名人の死を巡っても広がっている。コロナ禍の外出自粛によるSNS依存も、背景にあるとみられる。陰謀論に傾倒した結果、家族や友人との関係が悪化するケースが相次ぎ、深刻な影響を及ぼしつつある。 ◇ 耐えられず離婚 東京都内に住む50歳代の女性が、夫の言動を「おかしい」と感じるようになったのは昨年夏だった。 陰謀論に傾倒した夫と離婚した女性(中央)と、2人の子ども。夫は、家族旅行などの思い出を記した手紙を残して出て行った(東京都内で) 「コロナは存在しない。世界の支配層が仕組んだ偽装パンデミックだ」「ワクチンは危険。彼らは人口削減を狙っている」 そんな荒唐無稽な主張を繰り返すようになった。 夫は精密機器メーカー勤務。昨春以降、在宅勤務で自室にこもる日が続いていた。こうした陰謀論は海外で流