業界で圧倒的な強さを誇るトレーディング収益の源泉とされるプログラム「分散型リアルタイム高頻度取引プラットフォーム」が、元社員に盗まれていた 金融業界の話をゾクゾクような面白い記事に仕立てるのは難しい。ところがここへきてジェームズ・ボンドやジェイソン・ボーンも顔負けのスリリングな事件が明るみに出た。 7月3日、米ゴールドマン・サックスのセルゲイ・アレイニコフ前副社長がニューアーク国際空港(ニュージャージー州)で逮捕された。1カ月ほど前にゴールドマンを辞めたアレイニコフは、社交ダンスが得意なロシア人。本職はコンピューター・プログラマーで、ソーシャルネットワーキングサイトの「リンクドイン」のプロフィール欄には、ゴールドマンで「分散型リアルタイム高頻度取引プラットフォーム」の開発を指揮したとある。 事情通によれば、このプラットフォームこそゴールドマンの秘密兵器。非常に高度なコンピューター取引システ