「役者になんのよ、俺は」。今から約20年前、ミュージシャンを本気で辞めようと考えていたトータスを引き留めたのは奥田民生の言葉だった。果たしてどんなやりとりがあったのか。そして同席していた井上陽水のリアクションは……。(全2回の後編/前編を読む) ◆◆◆ よく洒落で言ってた「曲は増えても客は減るんや」 ――2005年のアルバム『9』のあと、トータスさんは役者に転向しようと考えました。音楽と役者の二足のわらじではなく、音楽をやめようとまで思ったわけですよね。 トータス そうです。そのころ、よく洒落で言ってたのは、「曲は増えても客は減るんや」って。もちろん曲は、どんどん作りつづけるじゃないですか。でも世の中的には、もしかしたら「ガッツだぜ!!」(95)や「バンザイ~好きでよかった~」(96)辺りが、ウルフルズのひとつのピークだったかもしれない。あとは緩やかに下降していってね。 自分も音楽家の端く