地獄というものがあるらしい。現世で悪いことをした人間、例えば嘘をついた人間とかは、エンマさまとやらに舌を引っこ抜かれて、そこに連れていかれるそうだ。 それを聞いてぼくは思う。 だとしたら、ぼくを含めた障害者なんかはみんな、そこで舌を引っこ抜かれて、地獄に行くんだろうなと。 ぼくは日々口に出す。「迷惑かけてごめんね」、「気を使ってくれてありがとう」、という言葉を。朝起きれなくて遅刻してしまったり、口で説明されてもわけがわからないから、ぼくだけ紙でマニュアルをもらったりしたときに。 やっちゃいけないことをやっちゃったり、できないことをできるように手助けしてもらったりした時に、これらの言葉を使えば、だいたい、うまく収まる。 障害者にわざわざ付き合ってくれる人なんて、みんないい人だから、そういう言葉を使えばたいていにこやかに受け入れてくれる。これを社会の法律では、「合理的配慮」と、言うらしい。 だ