高校の地学教育が危機的な状況にある。地学を深く学ぶ生徒がほとんどいないのだ。 地学は地球の仕組みや活動を科学的に探究する学問だ。高校では地震や火山、気象のほか、生命の誕生や宇宙など幅広い観点で学ぶ。自然災害が多い日本に欠かせない科目である。 ところが学ぶ生徒はとても少ない。高校理科の基礎科目は4科目から3つを選ぶ仕組みで、生物や化学を選ぶ生徒は70~80%と多く、物理も50%を超える。これに対し地学は約25%にとどまる。以前より増えたとはいえ、4人のうち3人は中学の知識のまま高校を卒業していくのが実情だ。 理系は理科の基礎科目を学んだ後、さらに詳しい専門科目を学ぶが、そこで地学を選択する生徒は1%に満たない。大学入試科目は物理と化学が基本で、地学で受験できる大学が少ないことが影響している。 地学を学べる高校自体がそもそも少ない。早稲田大の高木秀雄教授らが5年前にまとめた全国調査によると、教