住宅会社がこだわった独自の基礎断熱と換気方法が原因で、引き渡しからわずか半月という短期間のうちに、壁や床にカビが発生した。床下のカビを、室内に拡散させていたようだ。基礎断熱に多いパターンのトラブルで、注意が必要だ。 首都圏のある高断熱・高気密住宅では、7月の引き渡しからわずか半月でカビが大量に発生した。リビングの壁掛け時計、小上がり下の収納、納戸、トイレ、洗面所など、1階の広範囲にカビが広がった〔写真1、2〕。
300年以上の歴史があり、これまで枯れたことがないと言われる「天王様の井戸」で水がなくなった。2025年9月撮影(写真:日経クロステック) 岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町で数百年枯れることのなかった井戸が干上がった。この地区では、直下を通るリニア中央新幹線「日吉トンネル」の工事の影響で地下水位が低下。地盤沈下も観測されている。低下した水位を回復する手立ては見つかっていない。 こうした実情を2025年11月4日に日経クロステックで報じたところ、SNS上で多数のコメントが投稿された。その中でも目立ったのが、「静岡県の川勝前知事は正しかった」といった意見だ。 静岡県では川勝平太前知事がリニア工事によって大井川の水資源が失われる恐れがあると主張。県内からの地下水流出を一切認めない強硬姿勢でJR東海と対立した。 前知事に対しては在任当時、一定の支持があった一方で、ごねているだけだと批判する声も強かっ
北國銀行は2027年1月、マルチクラウドで動作する次期勘定系システムを稼働させる。預金や融資、為替といった機能を担う既存のCOBOLアプリケーションをJavaに書き換え、クラウド上のコンテナで動かす。災害などに備えてマルチクラウド構成を採用する勘定系システムは、他に類を見ない。(本文は敬称略) 「自分たちがいるうちにやれることをやって、後進に引き継ぎたい」。北國銀行の「次期コアバンキングシステム」のカットオーバーまで1年に迫った2026年1月、常務執行役員システム部長の新谷敦志はプロジェクトに懸ける思いを改めて口にした。 言うまでもなく、勘定系システムは銀行業務の中核を担い、信頼性が何より優先される。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが、いずれも勘定系システムをメインフレームと呼ばれる専用機を中心に据えて動かしている理由はそこにある。 勘定系システムで発生した大規模障害
「AI(人工知能)でこれだけ効率化できれば、今まで工数の問題で手を付けられなかった案件にも着手できるようになる」――。 ディー・エヌ・エー(DeNA)の小池啓輔IT本部IT基盤部副部長は、取り組みの手応えをこう述べる。 DeNAは2025年10月末~11月末にかけて、Perlでコードが記述されたサーバー資産管理API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)をGoに移行するプロジェクトを完遂した。Perlのコードは約6000行、移行後のGoのコードは約1万行に及ぶ。「人間の力だけでやれば少なくとも半年はかかるプロジェクト」(小池副部長)を、特性の異なる2つのAIエージェントを駆使してわずか1カ月でやり遂げた。 同システムはその後、2025年12月から約2カ月間に及ぶ開発環境での稼働確認を経て、2026年1月末に本番環境で稼働を開始している。 「優先順位の問題で対応できなかった」
電気自動車(EV)に前のめりだった欧州が方針転換を始めた。欧州委員会は2035年にエンジン車の新車販売を禁止する方針を事実上撤回する。性急なEV普及政策は中国メーカーを利する一方で欧州メーカーに打撃を与えると判断した。EV促進の象徴だった欧州政策の撤回は世界の自動車メーカーに開発戦略の転換を迫る。 欧州委員会は現地時間2025年12月16日、エンジン車の販売禁止を撤回する提案を提出したと発表した(図1)。一定の条件を満たせば2035年以降もエンジン車の販売を認める。エンジン車禁止を主導してきた委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏は「テクノロジーがモビリティーを急速に変革し地政学的な要因が世界の競争を再構築する中で、欧州は世界のクリーンモビリティーへの移行において引き続き最前線に立っている」とコメントした。
中国シフトの失敗ばねに素材技術特化 あまり知られていないが、TOTOの半導体製造装置向け部材を手がける新領域事業(セラミック事業)には歴史がある。 TOTOのセラミック事業は元々、光半導体と光ファイバーを高精度に位置あわせする部品であるレセプタクルや、ワイヤボンディング装置に使う部品であるボンディングキャピラリーに注力していた。2000年ごろから展開してきたが、顧客である大手メーカーが、我々から中国メーカーにシフトしたことでビジネス展開が読めなくなってしまった。コア技術が中国メーカーにキャッチアップされた形だ。 この反省から、「選択と集中」の方針に切り替えた。材料の独自技術を生かせる分野に資源を投入することにした。顧客の困りごとや将来動向を読み、独自に方針を考えてきた。セラミック事業の生産工場はそれまで茨城(茨城県桜川市)・中津(大分県中津市)・茅ケ崎(神奈川県茅ヶ崎市)の3拠点があった。
顧客向けのサービスやホテルスタッフのオペレーションに徹底的にテクノロジーを駆使し、ITの活用がうまいことで知られるアパグループ。記者は当然、ITのプロを含む相応の人数で構成されたIT組織が同社にあるのだろうと想像していた。 だが実際はわずか10人。それもIT企業出身者はおらず、全員がホテル勤務を経てIT部門に異動したメンバーだ。 「枝葉」はアウトソース 10人で回せるのには理由がある。アパグループの元谷一志社長兼最高経営責任者(CEO)は次のように説明する。 「(システム企画などの)『幹』は自分たちで手掛け、(実装などの)『枝葉』はアウトソースするのが当社の基本方針。その点は徹底している」。 企画や判断の核は自社で握りつつ、実装は外部の力も使う。言い換えれば、アウトソースを前提にしながらも「任せ切りにしない」設計になっている。 この方針は近年よく語られる「内製化」ブームと一見、逆方向に映る
リチウム(Li)のひっ迫から、急激に現実化し始めた、脱Liイオン2次電池(LIB)への動き。前回見たようにナトリウム(Na)イオン2次電池(NIB)の実用化が進む。一方で、Na以外にもLiよりはるかに豊富で、しかも低コストに採掘できる電池のキャリア候補となる元素が多数ある。 リチウム(Li)のひっ迫から、急激に現実化し始めた、脱Liイオン2次電池(LIB)への動き。前回見たようにナトリウム(Na)イオン2次電池(NIB)の実用化が進む。 材料の“パンドラの箱”が開く ただし、NIBがLIBに代わって支配的な技術になるかといえば恐らく否だ。NIBの強みは、キャリアとなる材料(Naイオン)の安定供給がほぼ約束されていることと低温時を含む出力密度の高さだが、エネルギー密度の点でLIBを大きく超えることは難しいからである。NIBの本当の役割は、これまで蓄電池の関係者に漠然と広がっていた「LIB以外
AI(人工知能)によって自律的に動作するロボットが実用段階に来ている。例えば自動運転車は、カメラやセンサーを使って周囲の環境を認識し、歩行者や信号、道路標識などの情報を取得。AIがそれらの視覚情報を処理し、自動車が安全に走行できるようにする。 だが道路標識などに反応する自動運転車は、偽の標識や看板にだまされる恐れがあるのではないか。その結果、悪意のある人物(攻撃者)によって危険な動作をさせられる可能性があるのではないだろうか――。 米カリフォルニア大学サンタクルーズ校コンピューターサイエンス・エンジニアリングの研究者グループは、この可能性について調べた。その結果、細工を施した標識を使えば、自動運転車をはじめドローンなどのAI搭載ロボットに危険な動作をさせることが可能であることが分かった。状況によっては、攻撃の成功率が自動運転車では8割、ドローンでは9割を超えるという。 研究者グループはこの
すご腕の住宅検査員・長井良至氏が欠陥住宅を防ぐポイントを解説します。今回は、完成済み住宅で杭の位置がずれで施工されていた問題を取り上げます。日経ホームビルダー2016年1月号「凄腕検査員が見逃さない欠陥施工」を再構成しました。 前回も述べたが、横浜市内のマンションで杭の施工不良により建物が傾斜していた問題では、杭工事会社だけでなく建築業界全体への不信感が強まった。杭の施工ミスや施工記録の偽装は、鉄筋コンクリート(RC)造の高層建築物だけでなく、戸建て住宅でも起こり得る問題だ。実際に私が検査で見つけた事例を紹介する。 下の写真は、完成済み住宅の通路を掘り、柱状改良(深層混合処理工法)の杭頭が出てきたもの。説明するまでもなく、人が歩くだけの通路に杭は必要ない。 原因を推測すると、杭芯位置を出す際、建物の境界からの寸法を間違えて杭を施工したのだろう。基礎工事の位置出し時に、現場監督はそのミスに気
盲点(1)VPN経由の侵入を示唆、脆弱性突かれ被害後に廃止 3つの盲点の1つ目は、侵入経路としてVPN(Virtual Private Network)装置の脆弱性を突かれたとみられることだ。攻撃者は同社が出荷管理システムなどのサーバーを設置したデータセンターに不正アクセスし、複数の業務サーバーや全37台の端末のデータを暗号化したり窃取したりした。同社は「グループ内の拠点にあるネットワーク機器を経由し、データセンターのネットワークに侵入された」としているが、具体的にどういったネットワーク機器から侵入されたのかは明言していない。 ただ勝木社長は今回の被害を受け「VPN接続は廃止した」と明言した。ネットワーク機器とはVPN装置だったのか、報道陣からの質問に対して「重要なリスクにつながる情報であるため明かせない」と回答を濁したが、「(報道陣の)想像とそれほど違わないものと思う」とも語り、VPN装
米国経営幹部のほとんどが電力不足を懸念 米国企業を広く調査した結果によると、経営幹部のほとんどが電力不足による支障を懸念している。理由はAI(人工知能)だ。 * PROLOGIS’ 2026 Supply Chain Outlook Report 米国の現政権は自国企業の回帰を狙っているし、さらにAIの開発利用を推進している。それによって中国に対する優位性を確保できるからだ。ただし、AIの利用が盛んになればGPU(画像処理半導体)などが相当な電力を費やす懸念をぬぐえない。自社で発電設備を持っている企業はあるものの、発電容量を急激に増やせるわけではない。どうしても外部の電力を頼りにせざるを得ない。 サプライチェーンはこれまでになく電力不足という懸念に立ち向かう必要があり、調達するエネルギーについて信頼性の確保も重要になる。これまで生成AIなどの活用はわりと無批判に推進されてきたが、AIはエネ
米調査会社IDCによると、2024年第4四半期のセキュリティー装置市場における販売シェアでフォーティネットは世界第1位(約19%)。日本でも同社製VPN装置を利用する組織は相当数に上ると見られる。日経NETWORKが2025年6~7月に実施した「ネットワーク機器利用実態調査2025」では、フォーティネット製セキュリティー装置を利用していると回答した割合が48.1%を占めた。 技術サポート終了まであとわずか。直前になって移行を検討し始めても間に合わない可能性が高い。同社のVPN装置でSSL-VPNを利用する企業や組織は、早急な対処が求められる。 脆弱性の頻発でパッチ適用が負担に SSL-VPNは、一般的なWeb通信にも使われる暗号化技術のTLS(Transport Layer Security)をVPNに応用した仕組みである。製品が登場した当初はTLSの前身技術であるSSL(Secure S
矢印の上には社会から注目を浴びた図書館を開館時期、または指定管理者制度を導入した時期の順に並べた。矢印下には、図書館の整備や運営に関わる社会の主な出来事を時系列で並べた(出所:取材を基に日経アーキテクチュアが作成) 図書館が変貌した理由は大きく分けて2つある。1つ目は高度経済成長期に建設された図書館が建て替え時期を迎えたこと。2つ目は急速に進む少子高齢化の影響だ。地方の街では人口減少によって中心部の空洞化が深刻な問題になっている。 一方で、自治体の財政は厳しい。総務省は2012年の笹子トンネル天井板崩落事故を契機にインフラ管理の適正化に乗り出し、全自治体に公共施設等総合管理計画の作成を要請した。老朽化した施設を統合する、コンパクトシティーを目指して施設を集約するといった事業は交付税措置を受けられる。自治体にとって貴重な財源であり、これを用いての施設再編が各地で進む。
リニア中央新幹線のトンネル工事の影響で、岐阜県瑞浪市の大湫(おおくて)地区の地下水位が約60m低下。何百年も枯れることのなかった井戸が干上がった(資料1)。地下水位を回復させる方策は見つかっていない。 資料1■ 300年以上の歴史があり、これまで枯れたことがないと言われる「天王様の井戸」。水がなくなっている。2025年9月撮影(写真:日経クロステック) 「地下水位が低下するのは早いが、回復には非常に長い時間がかかる」。こう指摘するのは、岐阜県環境影響評価審査会の会長を務める岐阜大学工学部の神谷浩二教授だ。それだけに、地下水位低下の兆候があれば、いち早く対策を講じる必要がある。 JR東海が瑞浪市でリニアの「日吉トンネル」をNATMで掘削していた2024年2月20日、同社の設置した観測井で水位低下を確認した。日吉トンネルの湧水として、地下水が流出していると考えられた。 しかし、掘削箇所の地盤が
第5回は多くの専門家が多要素認証の本命として挙げる「パスキー」に注目する。パスキーがどのような仕組みでフィッシング耐性を実現しているのかを見ていく。 パスキーは技術的にはFIDO(ファイド)の仕様における「FIDOクレデンシャル(認証資格情報)」を指す。このFIDOクレデンシャルを活用し、ユーザーがスマートフォンの画面ロックを解除するのと同じ手順で、Webサイトやスマホアプリなどにログインできるようにする。 画面ロック解除の操作でログイン 実装は開発者に任されているが、一般的なパスキー認証に共通する主な特徴は2つある。1つは、一連の認証フローに公開鍵暗号方式▼1を利用していることだ。公開鍵と秘密鍵のペアを事前に生成・管理しておく。認証の際は、認証器が秘密鍵でデジタル署名を施し、Webサーバーが公開鍵で検証する。秘密鍵はFIDOクレデンシャルに含まれる。
対話型AI(人工知能)が進化して人間の心に近づき、若年層におけるAIへの依存が大きな社会問題となっている。一方で、対話型AIを若年層のメンタルケアに役立てようという取り組みが進んでいる。 筆者は2025年9月に日経クロステックに掲載した特集「AIと心の交流、ツールから同僚・家族へ」で、人間とAIとの関係性をリポートすべく、様々なサービス提供者や識者に取材した。 同テーマに関心を持ったきっかけの一つは、米OpenAI(オープンAI)の「ChatGPT」などの対話型AIへの依存度が高まり、今や同僚や家族、パートナーに置き換わるほどの存在になっているのではないかと感じたことだった。 米国ではカリフォルニア州に住む16歳の少年が2025年4月に自殺し、その原因がChatGPTにあるとして、両親がオープンAIを訴えた。オープンAIはこうした事案を受け、ChatGPTで10代ユーザーの保護を強化した。
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