悪性リンパ腫の一種で、全身の皮膚が剥がれ落ちるなどの症状を伴う「セザリー症候群」。国内では症例数が極端に少ない難病だ。33歳で告知を受けた毎日放送の元ディレクター、溝渕佳美(かみ)さんは、子育てをしながら2度の骨髄移植を受けるなど闘病を続け、昨秋38歳で亡くなった。先月、出版された闘病記には、難病と向き合いながらも前向きな明るさに貫かれ、懸命に生きた彼女の生命がきらめく。(横山由紀子)皮膚がボロボロに 溝渕さんは同志社大学を卒業後の平成7年、「テレビ制作の現場で働きたい」と毎日放送に入社。結婚し30歳で長女を出産した後も仕事を続け、人気情報番組「ちちんぷいぷい」の制作に携わるなど、充実した日々を送っていた。 ただ、20代後半からアトピーのような症状に悩まされていた。アトピーに効くステロイド剤で症状が改善しないため、33歳のとき脱ステロイド療法に踏み切ったところ、全身の皮膚が剥がれ落ち、日常