かつて「コンスタンティヌスの寄進状」と呼ばれた世紀の偽書があった。その内容は「ローマ司教(ローマ教皇)に自分(ローマ皇帝)と等しい権力を与え、全西方世界を委ねて、自分はコンスタンティノープルに隠居する」というものであった。もちろん、ガリア(フランス)を根拠地としたローマ皇帝たるコンスタンティヌス大帝がそのような文書を残すはずもなく、これは8世紀ごろにローマ教皇庁によって偽造された文書で、(東)ローマ皇帝からの独立、ピピンの寄進(755年)やシャルルマーニュへの(西)ローマ皇帝戴冠(800年)などの根拠として広く活用(悪用)された。 この文書を厳密な考証に基づき偽作と論じたのが15世紀の人文学者ロレンツォ・ヴァッラである(「コンスタンティヌスの寄進状を論ず」)。ヴァッラは、古代の原典を丁寧に渉猟することで、ペトラルカやボッカッチョが始めたユマニスム(人文主義)を大地にしっかりと根付かせた。ま
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