どこか、腑に落ちない 大規模な気象災害が発生した後は、気象予報士にできることは限られます。むしろ、なぜこのような大雨が降ってしまったか、雨の予想は適切だったのか、といったこれまでの経過を振り返り、反省すべき点を見つけ、次回に活かすことを思います。 前回のコラムでは特異な気象状況だったと振り返りました。雨雲が長時間にわたって停滞し続けたことで、大量の雨が降り、大規模な水害に至ったのです。 ひとつ気になったのは、原因を考えるうえで「線状降水帯」という言葉を多く聞きました。でも、この線状降水帯という言葉が腑に落ちないのです。 スケールが違う 雨を降らせる雲は大きさがさまざまです。小さいものは幅数キロ、大きいものは幅数100キロを超えるものまであります。気象では大きさ(スケール)をそろえて考えることが重要で、スケールの大きい現象は雨雲の寿命が長く、小さい現象は寿命が短いという特徴があります。 今回