労働者が不正行為を内部告発する公益通報制度で、食品の適正表示を規定したJAS法違反を疑う通報が制度開始の06年度から5年間で国や都道府県に計63件寄せられながら、違反事業者名が公表される「改善指示」には1件もつながっていないことが分かった。一連の食品偽装問題などをきっかけに制定された公益通報者保護法だが、罰則がないことなどから制度の実効性に問題があるとの指摘もある。消費者庁は「公益通報制度の利用が低迷しているのは確か」として来年度から改善に向けた実態調査を始める。 JAS法は99年の改正で生鮮食品の原産地表示を義務づけ、ちょうど10年前に発覚した雪印食品(02年4月に解散)の食肉偽装事件などを受けて迅速な業者名の公表や罰則強化が図られた。事業者の営業範囲が単一の都道府県なら当該の都道府県、複数にまたがれば農林水産省と消費者庁が原則として対応。違反事業者名を公表する「改善指示」や、これより