日本銀行が「2%インフレ目標」の達成目標を再び先送りし、黒田東彦(はるひこ)総裁の任期である2018年4月までの達成を事実上、断念した。達成目標の先送りは2013年4月に大規模緩和を始めてからこれで5度目。当初2年間の短期決戦で実現する、と高らかに宣言して登場した黒田総裁にとって、これは異次元緩和そのものの「敗北宣言」に等しい。 黒田総裁は1日午後3時30分から記者会見する。記者会見での注目点は、この「自らの敗北」をどう説明するかだ。 黒田総裁はこれまでも、みずからの任期中に目標が実現できない可能性や、実現できない場合の責任について何度も質問を受けてきたが、正面から答えたことはない。常に「達成のためにできることは何でもやる」と、「必勝」の構えを崩さない説明に終始してきた。 その「何でもやる」という公約が黒田日銀の政策の手足を縛ってきた。消費者物価指数の伸び率(インフレ率)は昨年以降、ずっと