5月22日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、ドル資産を保有する日本の長期投資家にとってはドル売りヘッジのタイミングを考える局面に移行したと指摘。提供写真(2013年 ロイター) アベノミクスと量的・質的金融緩和(黒田バズーカ)で円高修正、円安相場に転換したことは、「デフレからインフレへの転換」という市場参加者の期待の変化によるものであることに疑いはない。しかし、100円台にのったドル円相場はどれほど先行きの日本のインフレ率を織り込んでいるのだろうか。 結論から言うと、100円台前半のドル円相場は消費者物価指数(総合)で前年比2%、企業物価指数で同7%台のインフレをすでに織り込んでいると推計できる。これは2008年9月のリーマンショック直前に、国際商品市況の高騰などを背景に一時的にインフレが進んだ時の水準とほぼ同じである。逆に言うと、今後2年間ほどでそうしたインフレ率の実現が日本で見えてこ