東京電力福島第1原発事故で旧経営陣の無罪が確定することを受け、記者会見する福島原発告訴団の武藤類子さん(中央)ら=東京・霞が関の司法記者クラブで2025年3月6日午後4時20分、長谷川直亮撮影 刑事責任が不問に付されたからといって、人々の暮らしと故郷を破壊した社会的責任は免れない。 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪に問われた旧経営陣2人の無罪が確定した。最高裁が、検察官役の弁護士の上告を棄却する決定を出した。 検察は不起訴としたが、市民から選ばれた検察審査会の判断で強制起訴された。津波の襲来を予想できたかどうかが争点だった。 事故の9年前、政府が地震予測の「長期評価」を公表し、巨大津波を起こす地震発生の可能性を示していた。 これに基づく東電の試算でも、敷地の高さを大幅に上回る津波が想定された。だが、旧経営陣は外部の専門家に改めて確認する方針を決め、対策を先送りした。
