前回は、米国ビジネスパーソンの長時間労働の実態を紹介した。今回はその理由について考えたい。紹介するのは“遅れた企業”ではなく、“ワークライフバランス先進企業”でさえ、今なお抱える課題である。 1つ目の課題は、制度と実態の乖離だ。「これまでのキャリアで、パートタイム勤務をしようと思ったことはありますか」と、ある大企業の女性役員に尋ねてみた。 筆者はかつて、同社で働くパートタイム管理職にも取材したことがある。当時、労働時間が短くても昇進できるとは初耳だった。これが可能なら、ワーキングマザーや家庭責任を果たしたい男性たちは、希望が持てると思ったのだが…。 ところが冒頭の質問に対し、女性役員の答えは「ノー」。理由は、制度と実態に乖離があるためだ。この企業でフルタイムの場合、制度上は週40時間労働だが、実際は60時間働く。パートタイムの場合、制度上は週32時間で実際は40時間の労働。パートを選べば、