心理学者、強制収容所を体験する 本書の内容を簡単に説明しましょう。 本書はアドラーやフロイトに師事したことで知られる心理学者、ヴィクトール・フランクル氏がナチスによる強制収容所での生活について綴った体験記です。彼は1942年から1945年にかけてアウシュビッツを含む数カ所の強制収容所に収容された後、解放されました。 本書はヴィクトール・フランクル氏が解放された直後、1946年に出版されました。 本書の冒頭では本書の内容についてヴィクトール・フランクル氏自身の言葉でこんなふうに語られています。 「心理学者、強制収容所を体験する」。 これは事実の報告ではない。体験記だ。ここに語られるのは、何百万人が何百万通りに味わった経験、生身の体験者の立場になって「内側から見た」強制収容所である。だから、壮大な地獄絵図は描かれない。 (中略) わたしはおびただしい小さな苦しみを描写しようと思う。強制収容所の