1960年の日米安全保障条約改定前の55年、当時の鳩山一郎内閣が安保条約のかわりに「西太平洋」での集団的自衛権の行使を認め、日本が防衛力を増強する一方で、米軍を日本から撤退させるとした「相互防衛条約」の試案を作成していたことが、外務省が公開した外交文書で27日、明らかになった。 鳩山氏が「対米自立」を掲げ、再軍備、憲法改正論者だったことは広く知られていたが、今回の文書では、新条約の具体的な試案が明らかになった形だ。 この案は、55年7月27日付で作成された文書で、全9条からなる。第2条で「武力攻撃に抵抗するための個別的及び集団的の自衛能力を維持し、かつ発展させる」と明記し、日本に集団的自衛権の行使を認めている。条約の適用範囲については、旧安保条約が対象としていた極東から西太平洋に広げた。 注目されるのは、米軍撤退についての条項だ。第5条で「米国の陸軍及び海軍の一切の地上部隊は、日本国の防衛