2011年12月27日、枝野経済産業大臣が「電力システム改革タスクフォース論点整理」を公表した。この論点整理をもとに、これから電力システム改革の議論が本格化する。 本稿では、そうした議論に一石を投じるために、筆者の考え方に基づいて具体的な電力システム改革の方向性と電力産業再編案を提示したい。発送電分離論や自由化問題に対して一定の回答を示しつつ、論点整理に含まれていない原子力発電の取り扱いも加えて、具体的な構想を述べる。 電力会社は大規模化する方が合理的 日本の電力システムは、(1)安定供給に必要十分な一定のゆとり(冗長性)を持った設備の確保、(2)国際エネルギー市場で伍していける購買力の形成、(3)電源の多様化によるリスク分散、の3つの条件を満たす必要がある。 (1)の安定供給のための予備力については、市場の価格シグナルに委ねるだけでは、必ずしも必要な設備投資がなされない。そもそも安定供給