新任の審議委員が投じた一石 無風だと思われていた日銀の金融政策決定会合にちょっとした風が吹いている。 7月末に新たに審議委員に就任した片岡剛士氏が、「現状の緩和スタンスではデフレ脱却がおぼつかない」として、現状維持に対する反対票を投じ、10月31日の金融政策決定会合では追加緩和の具体策について触れた。 筆者も現状の緩和スタンスを続けるだけでは、2%のインフレ目標の達成は厳しいのではないかと考えているし、現体制も終盤に入り、ややレームダック化しているのではないか(すなわち、2%のインフレ目標を達成しようという意識が希薄になっているのではないか)という印象を持っているので、決定会合のあり方に一石を投じたという意味において片岡氏の行動に賛意を表明したい。同時に、就任早々から孤立を恐れず、堂々と反対票を投じる姿勢には敬意を表したい。 ただし、10月31日の追加緩和策にはやや物足りなさを感じている。