ある雑貨店の片隅に、古いスノードームが佇んでいる。 その中に住む者たちは、不安に駆られ、終末についての噂を交わしていた。 天空に、ある不穏な兆しがあらわれたのだ。 果たして「その時」は本当にやってくるのか? それはどんな風にやってくるのか? 小さな小さな世界の中で、静かに近づいてくる終末の記録。 学生たちは、コピー機の説明書を店主に返して、それ以上には何もせず店を出た。もしかしたらこのあと、どこかで3人で話をしたり、カメラを写真屋に預けたりするのかもしれない。店を出た3人が自転車に乗っていく時には、楽しそうなやり取りが聞こえた。 「記念か……」と自分は考えた。生きていく時間の中で何かの記念を作ることは、その何かを忘れないためだったり、思い出すためだったりする。生命の仕組みは、たくさんのことを忘れていくという機能を持っている。記念を作ることは、必ずしもその忘れていく機能を否定するものではない
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