マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせられる「マイナ保険証」。利用登録者は8000万人を超え、医療機関の受診などで欠かせないものになりつつある。そんな中、一人ではカードを使えない人たちがいる。カードリーダーで顔認証や暗証番号の入力ができない視覚障害者だ。本格運用の開始から3年以上がたっても不便な状況は変わらず、当事者の戸惑いが続いている。 2024年10月、静岡県に住む全盲の40代男性は、通院先の眼科で初めてマイナ保険証の利用を試みた。カードリーダーと向き合い、大きなショックを受けた。「これは明らかに視覚障害者に対応していない」 男性に同伴した高齢のガイドヘルパーも使い方が分からず、自力で操作しようとした。本人確認には顔認証か暗証番号の入力が必要だ。しかし、顔認証しようにもカメラの位置が把握できず、顔をどこに向ければよいか分からない。音声機能もなく、画面に何が書かれているか知ることも
