昔からある知恵と、先端技術を組み合わせた、古くて新しいエネルギーを「貯める」技術が生まれています。その一つが、位置エネルギーを利用した「重力蓄電」です。中国ではまもなく本格稼働を見込む巨大な重力蓄電施設が動き始めています。(荒ちひろ) 「水の代わりに重りを使うことで、より安く、効率的で、環境に優しいエネルギーの貯蔵を実現できる」 そう話すのは、米国のスタートアップ企業「Energy Vault」の共同創設者でCEOのロバート・ピコーニさん(54)だ。 太陽光や風力など再生可能エネルギーが余っているときに、電気を使ってクレーンなどでブロックを高い位置まで上げておき、電力の需要に応じてブロックを落下させ、連動した発電機を回すことで発電する。原理は、ダムに水をくみ上げ、落下させて発電する揚水発電と同じだ。 水の代わりに上げ下げするのは、巨大なブロック。コンクリート製である必要はなく、残土やがれき