約20年ぶりのフルマラソンだった。昨秋、10月30日に開催された大阪マラソン2011。京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんは参加者約2万9000人中、半分ほどの順位でゴールした。タイムは4時間29分53秒。最後に42・195キロを走った研修医時代とほとんど変わらない記録だ。 現在49歳。ラグビー部のフォワードとして日々、練習に汗を流した大学時代に比べれば、格段に体力は衰えている。しかし久しぶりのフルマラソンに向け、トレーニングを欠かさなかった。平日は研究所近くの鴨川、休日は自宅近くの大阪城、東京に出張するときは皇居の周りを走った。 ミーティングなど外せない用事が入らない限り、大会後の今も毎日30分程度をランニングに費やす。走る最中にアイデアが浮かぶという人もいる。だが、山中さんは頭をできるだけ真っ白にして、景色を楽しみながら走る。私も時々ランニングをするが、歩くときとちがって走行中は