NATO加盟国なのにロシアからミサイル防衛システムを買い、東地中海では天然資源を独自開発。シリアでは複数回の軍事作戦を展開し――欧米からは「単独行動主義」としばしば批判されるトルコ。そんなトルコが長年、他国との連携と協力を重ねてきた分野がある。麻薬犯罪捜査だ。ヨーロッパとアジア、中東とアフリカをつなぐ地理的位置にあり、陸路、海路、空路で様々な人や物が行き交うトルコは、麻薬の重要な中継地点でもある。国際捜査は、新型コロナウイルスで各国の国境が閉ざされた中でも粛々と続けられており、6月末には「共和国史上最大」の作戦が公表された。 ■麻薬の道「バルカンルート」 アフガニスタン、パキスタン、イランにまたがる地域は、「黄金の三日月地帯」と呼ばれ、東南アジアの「黄金の三角地帯」と並び称される世界最大の麻薬の生産地だ。この三日月地帯で栽培された大麻や、ケシからつくられるヘロインはトルコを経由して一大消費
