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堀さん:正直なところ僕はデザインのことはよくわからなくて。でもせっかくこうした機会をいただけたので、自分なりに考えてみたんです。ご紹介いただいた森さんをはじめとして、デザインに関わる方々からインプロ(即興演劇)を面白がってもらえることも多くて、それもなぜなんだろうと不思議でした。 僕が見つけた仮説は「UXを考えることは 『関係性』を考えること」。例えば、もののデザインを考えるときは色や形について考えるのが一般的だと思います。でもUXの視点で考え始めると、ものと人、あるいは空間と人がどう関わるかという関係性の話になる。 それはすごく演劇的な思考でもあると思います。絵画が色や線、音楽が音やリズムの芸術だとすると、演劇は関係性の芸術です。ある人とある人がいて、その人たちの間で何かが起きる。キャラクター単体ではなく、置かれた状況や不意の出会いによりそのキャラクターが色々なものとの関係性を構築してい
上平さん:ユーザーとは直訳すると「使う人」。でも少し立ち止まって考えてみましょう、例えば「包丁を使う人」は包丁のユーザー、と言えるでしょうか? そうではなく、包丁という道具を使って料理している人ですよね。同じように、カメラを使う人は、装置と戯れながら写真を撮っている人です。ユーザーではありません。人と人工物の関わり方は一義的ではなく、見方で変化することがわかりますよね。つまり、ユーザーという見方は人が主体的に行動している時には本来適さない言葉なんですよ。 これは真面目に考えないといけないことです。サービスを通じてやろうとしていることが「包丁のユーザー」を作ることなのか、あるいは「料理する人」をつくることなのか。 UXという言葉には「ユーザー」が真っ先に来ますから、受け身の経験が想定されてしまいがちです。でも、それだとその商品やサービスを使うことで生活がより便利になるとか、ラクになる、などの
「結局のところ、UI/UXってなんですか?」のスピンアウトとして始まった当連載。ビジネス領域から人類学にジャンプした後、デザイン研究者の上平さんが紹介してくれたのは福井県鯖江市でシェアハウスを運営し、参加型デザイナーとして多くの地域プロジェクトに関わる森一貴(もり・かずき)さん。 最近ではフィンランドのアアルト大学(Aalto Universtity)でデザインを学び「わからなさのデザイン- Design within Uncertainty」という論文も発表しました。森さんが考えるUXとは? 森さん:この連載を読ませていただいて、重要な要素が少しずつ見えてきた印象を受けました。ここまでの議論を分解すると5つほどになりそうだなと。 1つ目は「ユーザー」。既にたくさんの方が触れていますが、そこに加え前回のゲストの上平さんはユーザーの定義そのものについて議論していましたし、小川さんや比嘉さんか
TD編集部が最近見つけた面白いものや楽しいこと、誰かに紹介したくなるアイデアをお届け。今回はライターの出雲井から、愛用のスマホアクセサリーをご紹介します。 iPhone背面のMagSafeを利用した便利グッズ 2020年に発売されたiPhone12から、iPhoneの背面には磁石が入っている。「MagSafe」と呼ばれる機能だ。ワイヤレス充電器を磁石でペタッとくっつけることで「気付かないうちに充電器がずれて充電できていなかった」という事態を防ぐことができる。 このMagSafeをさらに拡張して、iPhoneにいろいろなモノをくっつけたり、iPhone自体を固定して使ったりするためのグッズが登場している。中でもPeak Designの「Mobile」シリーズは、僕のiPhoneライフにとって欠かせない存在になっているので、ぜひその魅力、便利さを紹介したい。 Peak Designの「Mobi
「結局のところ、UI/UXってなんですか?」シリーズを通じてUXの奥深さにふれ、デザインだけでなくビジネスやアカデミック領域からもUXを考えてみたい、とふわっとスタートした新連載。第2回は文化人類学者の小川さやか(おがわ・さやか)さん。 小川さんはタンザニアで足かけ3年半にわたって現地の路上商人に密着したり、香港でタンザニア人ビジネスマンたちと同じマンションに暮らしたりと、フィールドワークを基本にしたアフリカ研究を続けています。香港での経験を書いた『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類』では、2020年に第8回河合隼雄学芸賞と第51回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。インフォーマル経済の従事者たちのしなやかさに惹かれ、日本式とは異なる働き方・生き方への興味が尽きない小川さんとお話ししてきました。
「結局のところ、UI/UXってなんですか?」シリーズを通じてUXの奥深さにふれ、デザインだけでなくビジネスやアカデミック領域からもUXを考えてみたい、とふわっとスタートした新連載。第1回は「UX検定」の発起人でもある藤井保文(ふじい・やすふみ)さんとお話ししてきました。 藤井さんは累計22万部の『アフターデジタル』シリーズの著者であり、12月19日には新時代のUXを考察する新刊『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』も刊行しました。藤井さんが考えるUXとは? 藤井さん:「関係性をつくること」ですね。これは過去におけるUXの定義との対比を考えることで見えてきます。UXがISOで定義されたのは2010年。当時、スマホは出始めたばかりでした。そこから変化したことは二つあって、一つはサービスやプロダクトにまつわる時間軸が伸びたこと。もう一つはステークホルダーが増えたことです。 まず時間
UI/UXデザインについて考えてきた私たち。前回のTDトークで企画の発端になった「石川くん」に呼びかけたところ、編集部に遊びに来てくれました。石川くんは現在のフリーのプロジェクトマネージャー・サービスデザイナー。いくつかのWebサービスやSaaSの開発の中でUXデザイナーと協働することもあり、自分自身もUXデザインについて日々考えてきたそう。ということで、あれこれ疑問をぶつけてみました。 以前の記事:【編集部トーク】「結局のところ、UI/UXってなんですか?」 わかったこと、わからないこと UXデザイナーって、結局何をする人なの? マーサ:石川くん、久しぶり! 石川くんはこれまでいくつかの企業でサービスデザインに関わってきたんだよね。いろんな組織でUXデザイナーを必要としてる、という声が聞かれるようになってきたけど……実際にUXデザイナーがいる現場は上手く回ってるのかな? 本当のところ、み
interview 結局のところ、UI/UXって何ですか?vol.11 qubibiの勅使河原一雅さんに聞いてみた デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。mountの林さんが紹介してくれたのは、qubibi(くびび)名義でクライアントワークを手がける一方、アーティストとしても独特の存在感を放つ勅使河原一雅(てしがわら・かずまさ)さん。勅使河原さんにとって、UI/UXデザインとは。
interview 結局のところ、UI/UXって何ですか?vol.10 mount inc.のデザイナー兼ディレクター、 林英和さんに聞いてみた デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。vol.8でSTUDIO DETAILS / BOLDの海部洋さんが紹介してくれたのは、数多くのWeb制作を手がけるmount inc.のデザイナー兼アートディレクター、林英和(はやし・ひでかず)さん。林さんにとって、UI/UXデザインとは。
書体を使う人が、本文用書体の役割や価値をきちんと理解して僕たちの書体を選択してくれるとすごく嬉しくなります。 誰もが読むものだから、派手なものよりも「普通に読める文字」を選んでほしいんです。書体は、ロゴとは違うからね。 ユナイテッドアローズという会社のアルファベット書体を作った時に、印象的なことがありましてね。 ユナイテッドアローズには、既にロゴ用に作った書体がありました。しかしそれで文章を組むとスタイルが合わないので、ちゃんと文章を組める書体を作りたいという依頼が字游工房に舞い込んだのです。 僕はその仕事をうちの若い人に頼みました。その人は帰国子女なのでアルファベットを結構分かっているだろうし、ファッション業界のような新しさを求める仕事には、若い人のほうが良いだろうと思って。 会長以下5〜6名に対する数回のプレゼンを通して案を絞っていき、いよいよ最後の1つが選ばれて。流れ的にはそれで納品
海部:UXは一言で表せばお客様の体験。もちろんそれは重要ですが、僕はデザインする対象と世の中の「接点」を探っています。それはやはり、UXを考えることはその商品の世界観を考えることだと思っているから。 言い換えると、「社会にとってこれは一体なんなんだろう」「(ユーザーの)どんな価値観を支えるものなんだろう」ということを考えているというか。見た目や使い心地といった部分よりもむしろ、概念的なことを考えている時間の方が長いですね。 海部:例えば僕たちはここ数年、とある家電メーカーさんの先行開発におけるコンセプト策定やUXの言語化、ミッション・ビジョン・バリューの策定に携わる機会が多いのですが、前提として社会が変化していく中でユーザーの価値観がどう変わっていくかを見つめています。変化していく価値観の中で、家電というものがどんな存在になるのかを考える時間です。 このプロジェクトでは2030年や2040
デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。Chompyのwataameさんが推薦してくれたのは、アプリ上で自宅とホテルの切り替えが可能な新しい暮らしの体験を提供する「NOT A HOTEL」でCXOとして活躍中の井上雅意(いのうえ・がい)さん。前職のメルカリ時代にはデザイン全体の統括を担っていた井上さんが考えるUI/UXデザインとは。
デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。Takramの河原さんが推薦してくれたのはフードデリバリーサービスChompy(チョンピー)のwataame(わたあめ)さんこと大杉健太(おおすぎ・けんた)さん。サマリーとメルカリ・ソウゾウで複数のサービス立ち上げを担ってきた経験を持ち、現在CXO(Cheif eXperience Officer)としてChompyに向き合うwataameさんが考えるUI/UXデザインとは?
デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。前回の伊野さんからのバトンを受け、デザイン・イノベーション・ファームのTakramでデジタルプロダクトデザイナーとして活躍する河原香奈子さんにインタビュー。美大出身、Web制作会社での経験を経て事業会社へ。新規事業の立ち上げと育成に携わったことで、デザインに対する新たな視点を得たという河原さんが考える「UI/UXデザイン」とは?
「NFTアート」が話題だ。一言で表すなら「一点物のデジタルアート」。しかしなぜそこに数十億円という価値がつくのだろうか。このムーブメントは今後も続くのか? NFTがデザインやアートに及ぼす影響とは? そんな疑問を、長年にわたり「インターネットと社会」のあり方について研究している斉藤賢爾(さいとう・けんじ)氏に聞いた。 高額落札が注目されがちなNFTアート 2021年に入り、NFTアートが世界的な話題となっている。 2021年2月に行われたクリスティーズ・オークションでは、BeepleのNFTアート作品が現存作家の落札額では第3位となる75億円で落札。続いて4月のサザビーズでも、Pakの作品が1.5億円で落札されるなど、さながらバブルの様相を呈している。 そもそもNFT(非代替性トークン)とは、ブロックチェーン上で発行・流通されるデジタルデータのことを指している。 それに対してブロックチェー
今、デザインやアートを学ぶ若者たちはどんなことを考え、何を求めているのか? 彼らの目に映る、学校生活、暮らし、考え・悩みなど、様々な「リアル」を聞いていきます。 第一回目の今回は、多摩美術大学(通称「多摩美」)の八王子キャンパスにお邪魔して、大学院に通う吉岡峻くん(広告デザイン)にお話をうかがいました。吉岡くんは高校卒業後1年間浪人して2013年に多摩美のグラフィックデザイン学科に入学。卒業後も同じ学科の大学院に進み、制作・研究しています。
TDではこれまで超小型モビリティや電動キックスクーターなど、電動の乗りものを取り上げてきた。今回はオーストラリア発の電動バイク、SUPER SOCO TCに試乗し、日常の足としての実用性をレポートする。 スタイリッシュな電動バイク、その実用性は? 「電動バイク」というと、現状は実用性を重視したスクーター型が目立つ。そんな中、オーストラリアの電動バイク専門ブランド「SuperSoco(スーパーソコ)」が、スタイリッシュな電動バイクを次々と送り出している。環境に優しく、先進的。さらにスタイルも魅力的となれば、気になる方も多いのではないだろうか。 果たして電動バイクは実用に足る乗りものなのか。そしてバイク好きを満足させる楽しみがあるのか。国内販売を手がけるMSソリューションズに125ccクラス相当の「SUPER SOCO TC」を借りて試してみることにした。なお、同社は「XEAM(ジーム)」の名
デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。今回は「UXならこの人!」と熱い推薦を受け、伊野亘輝(いの・のりてる)さんにインタビュー。レシピ投稿サービスのクックパッドでiPhoneアプリのフルリニューアルや新規事業を手がけ、現在はROLLCAKE Inc.のCXO(Cheif eXperience Officer )として活躍する伊野さんが考える「UX」とは?
デザインの現場でUI/UXを考える人々とお話ししながら、UI/UXとは何か、その輪郭をとらえていこうという当連載。前回はUXについて考えたので今回はUIにフォーカス。UI/UXデザインからビジネスモデルのデザインにいたるまで幅広く手がけるGoodpatch社。今回はUIデザイナーを経て現在デザインディレクター・シニアマネージャーを務める、野﨑駿さんに「UIデザインを考えること」について聞きました。
今更聞けない「UI/UX」。検索すれば、定義や意味は出てくるけれど、いまいちよくわからない。そんなモヤモヤを抱える皆様に向けて、デザインの現場でUI/UXを考える人々に話を聞いていく企画がスタート。今回は医療系スタートアップのUbie株式会社でUI/UXデザインに携わる畠山糧与(はたけやま・りょうせい)さんをゲストに迎えてお話を聞いた。
切手は基本的に子どもから大人まで人に使ってもらうものですから、作家性よりも人の意見を取り込んで咀嚼する能力が求められます。 切手デザインに限らず、デザインの仕事には全ての工程で「コミュニケーション」が重要。 例えば印刷技術を深く知ることで表現の幅は広がりますが、知っているだけではだめで、印刷を担当する技術者と綿密なやりとりをする必要があります。切手の場合、2〜3度校正を取ります。そのなかで自分の表現したいデザインを決めて、きちんと言葉にしていく必要があるんです。 また、記念切手など、外部の関係者との調整が必要なものも多いですよね。推薦元である省庁や主催者等とのやりとりも発生します。 日頃デザインに触れることが少ない方と打ち合わせをする場合にも、わかりやすくデザインコンセプトを伝える、という技術が必要になります。 それから切手の場合、差別的な表現や、プロパガンダにつながる表現がないかは特に気
ドイツデザイン界を代表するデザイナーであり、数々のトランスポーテーションデザインを生み出してきたアレクサンダー・ノイマイスター氏が来日。2018年11月3日、JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)の主催で講演会が開催された。乗りものとデザインが大好きなTD編集部が見逃すわけにはいかない! ということで取材してきた。 世界に衝撃を与えた美しい新幹線「500系」 500系新幹線をご存じだろうか。1997年にデビューし、世界で初めて時速300kmでの営業運転を実現した新幹線だ。 その速さもさることながら、従来の新幹線とはまるで違う未来的なデザインのかっこよさに、当時筆者も大きな衝撃を受けた。個人的には、今でも歴代新幹線の中でナンバーワンだとさえ思う。 そんな500系新幹線をデザインしたのがアレクサンダー・ノイマイスター氏だ。同氏は500系新幹線のほかにもドイツのICEやスペインのAVEと
不定期に更新していく、若手クリエイターの仕事場訪問企画。今回は1993年生まれの北岡誠吾(きたおか・せいご)氏へのインタビューだ。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業後、加藤賢策氏が率いるLABORATORIESでエディトリアルデザインやブックデザインを手がけた彼は、今春に独立しグラフィックデザイナーとしての歩みを進める。自身の作品に影響を与えたさまざまなデザインや、デザインと向き合う中で大切にしていることなどについて聞いた。
TD編集部・藤生(ふじゅう)による、若手クリエイターの仕事場訪問企画第二回。今回はグラフィックデザイナーの木村稔将(きむら・としまさ)氏へのインタビューをお届けする。2006年にオランダのヴェルクプラーツ・ティポグラフィを修了後、秋山伸氏が率いるデザイン会社「schtucco」に参加、2010年からはフリーランスとしてアーティストや美術館などと積極的なコラボレーションを展開している。コンセプチュアルで構造的、しかしどこか親しみやすさも覚える彼のデザインはいかにして形成されたのか、その原点に迫ってみた。 前回の記事:vol.1 北岡 誠吾 デザインの身体性が立ち上がる瞬間 一冊の本を想起させる仕事場 小さなベランダのあるワンルームに、パソコン、デスク、レーザープリンター、そして本棚が並んでいる。部屋のレイアウトにはすべて意味があるように見え、本の一冊さえ、勝手に動かすことは躊躇われる。デザイ
今回紹介する超小型モビリティ「FOMM ONE」。水陸両用で「未来のEV」として話題になった。だが、決して話題先行のイロモノではない。創業者の強い問題意識と論理的な検討の末たどり着いた、純粋かつマジメなプロダクトなのだ。 FOMM ONEとはどんな乗り物なのか、どんな経緯で生まれたのか。その全貌を、試乗編とインタビュー編の2回シリーズに分けてお伝えしたい。今回は試乗編をお届けする。 (前回の記事)小さいクルマほどデザインが重要なワケ イタリアからきた小型EV、BIRO試乗レポート ファースト・ワン・マイル・モビリティ「FOMM ONE」 超小型モビリティ特集第二弾。前回のBIROに続き、今回は異色のEVを紹介する。その名はFOMM ONE(フォム ワン)。2018年3月のジュネーブモーターショーで正式公開された。道路を走るだけでなく、水の上でも進める未来のEVとして話題になっている。 水陸
JIDAビジョン委員会が主催するフォーラム、「インダストリアルデザインのプロフェッショナリズム」シリーズの第3回が、2019年3月7日(木)に開催された。今回のテーマは「精密機器」だ。 「インダストリアルデザインのプロフェッショナリズム」シリーズ、3回目開催 日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)ビジョン委員会が主催するフォーラム、「インダストリアルデザインのプロフェッショナリズム」シリーズの第3回が、2019年3月7日(木)、東京ミッドタウンのデザインハブで開催された。 自動車をテーマにした第1回、家電デザイナーが集まった第2回に続き、今回のテーマは「精密機器」。 前回までは60代・40代・20代の3世代から登壇者が決められたが、今回はキヤノン総合デザインセンター所長の石川慶文氏(50代)、セイコーインスツルのウオッチデザイングループに所属する石原悠氏(40代)、そしてオリンパスデ
以前TDが取材した京都造形芸術大学の吉岡華子さん。当時、彼女が制作中だった「学校案内パンフレット」が届いたので、電話取材を実施。制作の様子を振り返ってもらいました。 学生が作り上げる学校案内 「日本一捨てられない学校案内」と呼ばれる、学校紹介パンフレットがあるのをご存知ですか? 以前、TDで取材した京都造形芸術大学の吉岡華子さん(記事はこちら)。取材当時、彼女が制作に取り組んでいたのが、そのパンフレット「student today」です。これは大学側も公式資料として活用する「学生がつくるパンフレット」 。毎年4万5000人の高校生に配られており、今年で制作11年目とのこと。 TD編集部は昨年度版のパンフレットを手にした時、340ページに及ぶ完成度の高さと厚み(内容も背幅も)に驚きを隠せませんでした。2018年度版の「student today」が完成したとの知らせを聞き、早速吉岡さんに「是
鳥海:最初に作るのは、漢字です。 漢字って画数が多いじゃないですか。仮名は画数が少ないので、線を太くしようと思えばかなり太くできます。しかしその太さに合った漢字を作ろうとすると画数が多いので作れなくなってしまうんですよ。 例えば「酬(シュウ)」という字があるでしょう。これは点を含めると、縦に10画もあるので、線が太い文字は作れない。だから、そういった画数の多い漢字から太さを決めていくんです。 太い書体を作る時はこういう画数の多い漢字を参考にしながら、どこまで太く見せるかを考えていきます。そうやって画数の多い漢字を作りつつ、「力(ちから)」など画数が少ないものの太さも、バランスを見ながら検討していきます。 字の大きさも同じですね。例えば「今(いま)」は、ひし形に収まるような形をしていますね。ひし形って、正方形の枠に収めると小さく見えるでしょう。だから何も考えずに作ると他の文字より小さく見えて
鳥海 修(とりのうみ・おさむ) 1955年山形県生まれ。多摩美術大学GD科卒業。1979年株式会社写研入社。1989年に有限会社字游工房を鈴木勉、片田啓一の3名で設立。現在、同社代表取締役であり書体設計士。株式会社SCREENホールディングスのヒラギノシリーズ、こぶりなゴシックなどを委託制作。一方で自社ブランドとして游書体ライブラリーの游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に100書体以上の書体開発に携わる。2002年に第一回佐藤敬之輔顕彰、ヒラギノシリーズで2005年グッドデザイン賞、 2008東京TDC タイプデザイン賞を受賞。京都精華大学客員教授。著書に『文字を作る仕事』(晶文社刊、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)がある。
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