数学の中心的分野の一つ、解析学(微分・積分)の根本には、極限(limit) というものがある。高校数学や最近の軽めの大学教育では、「限りなく近 づく」といった扱いで済ませてるけど、本来は「ε-δ(イプシロン・デルタ) 論法」で厳密に扱うべきもので、去年の春、3本の記事をアップしてみた。 極限の定義、定理(線型性)の証明、具体的問題の解き方についてだ。 これらの記事には、過去1年ほどで、予想以上のアクセスが集まってるし、 熟読する熱心な方も少なくない。そこで、「ある意味」、4本目の記事として、 「ε-N(イプシロン・エヌ)論法」について簡単に書いてみよう。 これは、定義の記事のP.S.にも書いたように、広い意味でε-δ論法 と似たようなものだ。数列の極限を示す代表的な書き方として、次の式を 考えてみよう。 この式を、ε-N論法では次のように定義する(細かい言い回しは人に よって少し異なる)。
