Criticism series by Murakami Yuichi;Philosophy of "bishojo" game 第二章 地下の風景【1】 様々なメディアミックスによってコンテンツが生まれている昨今、改めて注目されている作品たちがある。美少女ゲーム。識者によってすでに臨界点さえ指摘された、かつて可能性に満ちていた旧態のメディア作品。だがそうした認識は変わらないままなのか。傍流による結実がなければ光は当たらないのか。そもそも我々は美少女ゲームをどれほど理解しているのか――。巨大な風景の歴史と可能性をいま一度検証する、村上裕一氏の批評シリーズ連載。 †もう一つのアイデンティティ 筆者は第一章で「恋愛」という風景について取り上げた。それは、同じ恋愛というモチーフにも、当然のことながら内部的な差異があることを、ごく簡単にでも確認するためである。ノベルゲーム的なデザインと合流すること