2010/8/210:0 高齢者の社会的つながり――健康との関係 河野敏鑑 不老長寿は始皇帝の時代から人類の夢でした。始皇帝の時代は、クルマも電気もパソコンもなく、医療技術も医療の体制も不十分でしたから、乳幼児の死亡率も高く、平均寿命は20歳代であったと推定されています。 現代では、医療技術の進展、上下水道の整備による衛生状態の改善、さらには医療保険といった制度面での対応もあり、物理的には長寿が達成され、始皇帝の時代以来の人類の夢は、80歳を超えるような平均寿命をもつ日本では達成されたかにもみえます。 しかし、人間とは社会のなかで生きる存在です。最近、100歳を越える高齢者が、じつは所在不明であったことがつぎつぎと明らかになっています。人が生活をしていれば、地域や家族と接点があると思うのが普通でしょうが、そうした絆が薄まりつつあるのは残念ながら現実のようです。 年金がそこそこあれば、金銭的