「民主主義は危機にある」。そんな言葉が叫ばれて久しいが、シンクタンク「山猫総合研究所」代表取締役の三浦瑠麗さんは「民主主義が広がることが無条件によいとは思わない」と指摘する。その真意とは。【聞き手・畠山嵩】 生存と繁栄の確保 ――戦後80年を迎えました。日本の民主主義の現状をどう評価していますか?
東京大が4月から学費を上げます。その方針に異を唱えてきた一人が、東大教授(教育社会学)の本田由紀さんです。教育と国家の「距離感」から、選挙にも多大な影響を及ぼすようになったSNSに対する教育の「可能性」まで、聞きました。【聞き手・宍戸護】 社会分断を深めた、公的支出の抑制策 ――東京大は4月の学部入学者から授業料を2割(約10万円)引き上げて64万2960円とします。どう見ていますか。 学費の値上げには反対です。長引く経済低迷により、保護者の収入の差が広がっており、大学教育を受ける機会の格差を一層悪化させるからです。日本の高等教育に占める私費負担の割合は国際的にも高く、22年の経済協力開発機構(OECD)報告書によると加盟国の平均は30%程度なのに日本は倍以上の67%。東大をはじめ、国立大や私立大の授業料が今後値上げされれば、私費の割合はさらに増えます。 あしき特徴を増長させる 伊藤公平・
記者会見するフジテレビの港浩一社長=東京都港区の同社で2025年1月17日午後3時4分、西本龍太朗撮影 タレントの中居正広さんと女性のトラブルに、フジテレビ社員が関与していたとの週刊誌報道を巡り、企業がフジテレビへのCM出稿を差し止める動きが拡大している。毎日新聞の取材では、少なくとも50社超が差し止めを決定し、「検討中」の企業も多数に上るとみられる。 18日にトヨタ自動車や日本生命保険が差し止め、20日にはセブン&アイ・ホールディングスや日産自動車などが続いた。大手乗用車メーカーは20日の段階で全社が出稿を止めたことになる。各社とも「報道を踏まえ総合的に判断した」としている。 花王は18日放送分からCMを中止した。情報番組「めざまし8」などにCMを出してきたが、「企業活動全体を通じた人権尊重」を掲げる「花王人権方針」などにのっとり「総合的に判断した」という。自社のCMを公益社団法人「AC
三毛猫の模様はさまざま。色が薄い「パステル三毛」や、茶色や黒の部分がしま模様になっている「しま三毛」もいる=2022年、菅沼舞撮影 白、黒、茶色(オレンジ)の3色からなる三毛猫の毛の色を決める遺伝子を、日本の研究チームが発見した。三毛猫はほとんどがメスで、毛色を左右する遺伝子が雌雄を決める性染色体に存在することまでは分かっていたが、具体的な遺伝子はこれまで見つかっていなかった。 多くの哺乳類は、性染色体としてオスがXとYを1本ずつ、メスはXを2本持っている。子には1本ずつ受け継がれ、性別が決まる。 猫の毛色を決める黒や茶色の遺伝子は、X染色体にのみ存在する。1本のX染色体上に黒や茶色の遺伝子は同時に存在しないため、X染色体を2本持つ個体が三毛猫になり得る。これが三毛猫や、黒と茶色の毛色を持つ「さび猫」のほとんどがメスである理由だ。 2本あるX染色体は体細胞内では片方しか働かないので、黒や茶
インタビューに答える山本康正・京都大学経営管理大学院客員教授=東京都千代田区で2024年12月16日、宮本明登撮影 デジタル技術が進化し、新たなサービスがどんどん生まれている。GAFAMに代表される米巨大IT企業がリードしてきた市場では、生成AI(人工知能)「チャットGPT」で知られる米オープンAIなど新興勢力も台頭する。「最先端テクノロジーに乗り遅れた企業は淘汰(とうた)される」と説く、ベンチャー投資家で京都大経営管理大学院の山本康正客員教授(43)に日本の現在地を尋ねると、危うい現実が見えてきた。 2025年、デジタル社会はどこへ向かうのか。企業や個人はどう向き合うべきか。3人に展望と課題をうかがいました。全3回の第1回 「年寄りを分かってない」最高齢のアプリ開発者が喝 映画1万本を一瞬でダウンロード IOWNが導く未来 日本は「デジタル敗戦」 ――デジタル市場での日本企業の現状を、ど
JR京浜東北線蕨駅の西口を出て10分ほど歩くと、高層階の建物が並ぶマンモス団地にたどり着く。2024年12月のある午後、敷地内の広場では多くの人が思い思いの時間を過ごしていた。遊んでいる子供を見守る母親、買い物袋を抱えた2人の高齢女性、自転車を脇に置いて友人と話し込む男性――。どこにでもある風景だが、違いもある。彼らから聞こえてくる言葉はいずれも中国語なのだ。 日本に住む外国人が増え、日本人にとっても外国人住民にとっても暮らしやすい社会をどう作っていくのか――。川口を舞台に、3回にわたって現場に迫ります。(全3回の第1回、次回は1月8日午前5時アップ予定) <対立もないけど交流もない 芝園団地の奇妙な静けさ>につづく 関連記事・移民問題は「21世紀の革命」 岐路に立つ日本 ここは埼玉県川口市芝園町の芝園団地。多くの中国人が住んでいることから、近年は「チャイナ団地」とも呼ばれている。 川口市
議員や政党を必要としない民主主義の仕組みが、人口減少の最前線を行く日本の片隅で導入され始めている。 ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)でも使われている暗号技術「ブロックチェーン」(分散型台帳)を活用したものだ。 国家レベルに広がれば、戦後日本が敷いてきた民主主義の形が大きく変わる。 それが実現した未来に「政治家」は必要なのだろうか? この記事では、次の内容を知ることができます。 ・政治家不要の仕組み「DAO」とは? ・デモンストレーションでイノシシ対策を考えると… ・DAOが広がるのはいつごろの見通しか 次の関連記事もあります。 「バチカン」目指す限界集落 AIの脅威、抑えるのは誰か 過疎化が進むまちで 「若いもんが話をするでしょ。そうすると年寄りが(取り)下げるわけさ、話を。だから何にも話にならん」 2024年12月初旬、佐賀県嬉野市の旧塩田町地域。 先端ブロックチェーン技術者を育成
住宅街に飛散していた白い粉じんは人体に有害なアスベスト(石綿)だった。飛散の元になった建物解体現場で作業を管理していた会社は当初、作業の適切さを主張。しかし、住民が解体の様子を捉えた動画で作業のずさんさが明らかになり、行政も是正に動いた。 ベランダに白い粉…子どもが鼻水、せき 11月初旬の晴れた日。京都市右京区にあるマンションに住む40代の女性はベランダがほこりっぽいことに気付いた。手すりばかりでなく、足元にある黒色のサンダルにも白い粉じんが点々と付いていた。 他の住人たちも同じように異変に気付いた。子どもの鼻水が止まらなくなったり、せきが出たりすると、粉じんとの関係性を疑った。ベランダに洗濯物を干すのをやめ、子どもたちにはマスクをさせて学校に通わせた。 マンションの隣には店舗兼工場だった2階建て建物(延べ床面積約1700平方メートル)が建ち、解体が進んでいた。解体工事は、跡地にマンション
駅前のロータリーは熱気に包まれていた。 11月4日夜、兵庫県西宮市の阪神西宮駅。歩道や駅ビルの2階を埋め尽くす群衆。視線の先にいるのは県議会から不信任決議を受けて出直し知事選(10月31日告示、11月17日投開票)に出馬した斎藤元彦氏(47)だ。 「こんなに多くのみなさんが集まってくれて、本当に私は勇気と元気をいただいています」。深々と頭を下げる斎藤氏に割れんばかりの拍手が送られた。 1カ月ほど前から街頭活動に参加し、斎藤氏を応援してきた祖品さん=X(ツイッター)アカウント名=は目を真っ赤にしてその様子を見つめた。「方向性は間違っていなかった」。スマートフォンを向け、演説の動画配信をしながらも涙をこらえることができなかった。 大阪市に住む男性会社員の祖品さん。斎藤氏を巡る文書告発問題についてのマスコミの報道姿勢に対し、「一方的に斎藤氏を責め続けている」と疑問を感じてきた。SNS(ネット交流
アニメファンに根強い人気を誇るラジオ関西(神戸市)のリクエスト番組「青春ラジメニア」。1989年の番組創設から関わり、2022年春までパーソナリティーを務めたフリーアナウンサーの岩崎和夫さん(71)は阪神大震災(95年)翌週の放送でも、アニメソング(アニソン)を流し続けた。「アニソンは基本的に頑張ろう、勇気を出そうという歌が多いので、当時はそういうリクエストがいっぱい来ました。歌謡曲やポップスと比べてもアニメの主題歌はメッセージ性が特に強い。メッセージがストレートに伝わるからこそ聴きたくなるんですよね」。アニソンが持つ力を実感したという。【谷口豪】 <この記事の後半で阪神大震災の時のことを語っています> ・「全壊」のスタジオから放送 ・震災翌週からアニソン再開 ・批判もあえて紹介 アナウンサーになって教え子と再会 <大学卒業後、奈良県で中学校の教員になったがアナウンサーの夢を諦めきれず、7
商品に付いたバーコードの読み取りから支払いまでを客自身が行うセルフレジ=福岡市中央区の西鉄ストア「レガネット天神店」で2023年8月16日午後2時43分、近松仁太郎撮影 「もたもたして後ろの人に嫌な顔をされたくない」。そんな思いなどからスーパーの「セルフレジ」を使わない人は多い。店員が対応する「有人レジ」はどこも長い行列ができている。セルフレジはなぜ避けられるのか。小売業を支援する「店舗のICT活用研究所」の郡司昇代表に聞くと、買い物客側の問題ではない、意外な事情が見えてきた。【聞き手・宇田川恵】 有人レジの長い列に並ぶ方がまし ――最近はどんなスーパーでもセルフレジを見かけますね。 ◆セルフレジは大きく分けて二つあります。商品のバーコードをスキャンする「商品登録」から、代金を支払う「決済」まで、買い物客がすべて自分で行う「フルセルフレジ」。もう一つは、商品登録は店員が行い、客は決済だけを
出直し兵庫県知事選(17日投開票)で再選された斎藤元彦前知事(47)の文書告発問題を究明する県議会調査特別委員会(百条委)を巡り、日本維新の会の吉村洋文共同代表は18日、「この議会で継続する正統性はあるのか、構成員の資格の問題だ」と述べた。県議会の自主解散も選択肢の一つとして視野に入れているとみられる。 斎藤氏のパワーハラスメントを巡る文書告発問題に関し、県議会は6月に百条委を設置した。調査継続中だった9月、自民党や維新の会派を含めた全会一致で斎藤氏への不信任決議案を可決。斎藤氏は失職を選び、出直し選に至った。 選挙戦から一夜明けた18日、報道陣の取材に応じた吉村氏は、近く兵庫維新の会の全体会議に出席し、一連の経緯を総括する考えを示した。その上で「県議会は不信任という非常に重い判断をしたが、県民は(斎藤氏を)信任した。県議会が何事もなかったようにするのは筋が通らない」と指摘した。報道陣から
取材に応じた吉本興業の元常務、木村政雄さん=東京都港区で2024年11月13日午後2時5分、奥村隆撮影 「もうええでしょう、松本君」。お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志氏(61)にテレビ番組からの撤退を勧める人がいる。かつて「ミスター吉本」とも呼ばれた吉本興業の元常務、木村政雄さん(78)だ。松本氏は、女性への性的行為強要を報じた週刊文春の記事を「名誉毀損(きそん)」と主張して起こした訴訟を11月になって取り下げたばかり。吉本の芸人を育てる立場だった木村さんが、あえて引導を渡す気持ちになったのはなぜなのか。 取り下げという終わり方 「もちろん闘うと思ってましたよ。取り下げたと聞いて、なんじゃそりゃと」 判決でも和解でもなく、振り上げたこぶしを自ら下げただけの結論に、木村さんは「まあ、ほとぼりが冷めるまで、みたいなところだったんじゃないですかね」と一歩ひいた見方をする。「でも、ああいう終
国民民主党の玉木雄一郎代表は13日、東京MX番組に出演し、7月の東京都知事選で次点だった石丸伸二・前広島県安芸高田市長が2025年夏の東京都議選に向けて地域政党の設立を発表したことについて「かなり旋風を巻き起こす可能性は十分ある」と述べた。 石丸氏は政党の支援を受けずに躍進したが、有権者の意識に関し「政治が右か左か、保守かリベラルかよりも、新しいのか古いのか、下にいくのか上にいくのか、くらいの選択という感じがしている」との認識を示した。今後の選挙では「わかりやすい、身近な新しさを実感してもらえる新機軸を出せるかどうかが問われる」と述べた。 国民民主の都議は現在ゼロだが「(候補者を)出せるところには出していきたい」と話した。【遠藤修平】
国内最難関の私立大学とされる早稲田大と慶応大の合格者に占める東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の高校出身者の割合が2009~24年度の15年間でいずれも6割強から7割半ばへと増加したことが、毎日新聞の集計で明らかになった。国立の旧帝国7大学で東京圏の合格者数が増えたことが判明しているが、難関私大でも同様に格差が広がっている状況が浮かんだ。 サンデー毎日や教育専門通信社「大学通信」が毎年実施する高校への調査などを基に分析。大学入学共通テストの前身・大学入試センター試験が始まった1990年度から24年度入試(24年4月入学)までの合格者数をまとめ、地域ごとの変化をたどった。対象となる合格者は学校推薦型選抜・総合型選抜を除く一般選抜方式だが、13年度までの早大については推薦なども含む。 総合格者数(併願による重複含む)は早大が12年度の2万2192人をピークに減少傾向にあり、近年は1万5000人
米大統領選(5日投開票)の共和党候補、トランプ前大統領は10月31日、党内の反トランプ派の代表格であるリズ・チェイニー元連邦下院議員について「彼女は過激なタカ派だ。小銃の標的にして、彼女がどう感じるか見てみようじゃないか」と語った。西部アリゾナ州での集会で発言した。 発言を受けて、チェイニー氏はX(ツイッター)への投稿で「独裁者はこうして反対派を脅すのだ」と反発した。チェイニー氏の支持を受ける民主党のハリス副大統領も「暴力的で危険なレトリックを使う人物は大統領になる資格がない」と記者団に述べた。 トランプ氏は31日の集会で「タカ派はワシントンの美しい建物にいながら、『1万人の兵士を敵の面前に送ろう』などと言うものだ。彼女はいつも戦争を望んだ」とチェイニー氏を批判。「能なし」「間抜け」などと中傷する中で、「標的」発言も飛び出した。 トランプ氏は批判を受けた後、ソーシャルメディアへの投稿で「チ
東京都立高校3年の秀島知永子さん。授業の担当教員が何度も代わり、教員不足を実感した=東京都中央区で2024年10月17日、三浦研吾撮影 公立学校で、本当に大丈夫なのか――。 そんな不信感のようなものが今、首都圏の中高生の間にじわじわと広がっている。背景にあるのが、教員の不足や働き過ぎの問題だ。子どもたちは、自分たちへの対応がおざなりにされているのではないかと疑いの目を向ける。 27日投開票の衆院選で、各党は「教員の待遇改善」などを掲げるが、子どもたちは何を思うのか。2人の中高生の現実から、求められる対策を探る。 また交代? 1年で4人の英語教員 東京都立晴海総合高校3年の秀島知永子(ちえこ)さん(18)は、高1の秋のことを今も思い出す。 英語の授業で、初めて見る教員がやってきた。入学当初から教わってきた女性教諭が産休に入る前の引き継ぎだった。 ところが、それから年明けまでの間に、担当教員は
被選挙権年齢の引き下げを求めて訴訟を起こした中村涼香さん=東京都中央区で2024年10月9日、椋田佳代撮影 議員に最も選ばれやすいのは30歳――。 東京大の斎藤宙治(ひろはる)准教授(法社会学)が3月、架空の候補者を用いたオンライン実験調査をしたところ、こんな結果が示された。 どんな実験? 実験の内容はこうだ。 まず、会社員や政治家秘書といったさまざまなプロフィルや年齢の候補者を用意。それをランダムに組み合わせたペアとし、調査会社に登録している18~79歳の2511人に「どちらが議員として望ましいか」を尋ねた。 その質問を何度も積み重ねると、30歳の人気が最も高かったという。18~29歳の1384人を対象とした調査では、23歳と25歳の候補者が30歳と並んで好まれやすかった。 現実には、衆院議員と地方議員の選挙に立候補できるのは25歳以上、参院議員は30歳以上と公職選挙法で決められている。
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