謎のじゅもん“チッカチタン”をとなえた!――「CONTAX T3 チタンブラック」:矢野渉の「金属魂」Vol.20 マニアの不毛な争い、終止符を打ちたいが…… 2001年、夏。発売されたばかりの「CONTAX T3 チタンブラック」を買おうか否かと、僕は新宿の家電量販店の店頭で悩んでいた。デジタルカメラの台頭でフィルムカメラの先行きが怪しくなってきたこの時期に、決して安くはないこのカメラを手に入れる意味があるのだろうか? 触って電源を入れてファインダーをのぞいて、と商品知識を増やすほどに迷いも深くなる。 ことの起こりはこのT3の前モデル、「CONTAX T2」にあったのだ。その10年も前に発売されたT2は「高級コンパクトカメラ」というジャンルを確立した名機である。ロングセラーであり、ハイアマチュアと呼ばれる層のカメラマニアはほとんどの人が所有しているような状態だった。 何となくタイミングが