「感染拡大に歯止めがかからなければ政府による人災だ」 青森県のある市長のこの発言、「Go Toトラベル」の対象から、東京を外すきっかけともなった。取材を深めると、背景には、感染防止と、経済の回復に向けた取り組みのはざまで苦悩する地方自治体の姿があった。 (佐野裕美江) 発言は突然 その発言が飛び出したのは7月13日。青森県むつ市の新型コロナウイルス対策本部会議だった。 会議の冒頭、市長の宮下宗一郎(41)は、政府が、22日から開始すると発表した観光需要喚起策「Go Toトラベル」について、こう述べた。 「Go Toトラベルが始まれば、ウイルスが全国に解き放たれることになる。そのことによって拡大に歯止めがかからなければ、政府による人災と評価できる」 出席した市のある幹部は「人災という表現には驚いた。ふだんの会見であればオブラートに包むだろうが、緊急事態宣言の時以上の危機感だと思った」と振り返