ウロ

フェアトレードの店でチョコを買う。バレンタイン用。
いつもは国内ブランドの、いつもは買わない高いチョコだが
「俺は何でもいい」と抜かすから
同じ金額出すならとフェアトレードチョコ。

コーヒーもこちらに切り換えるといいんだがなあ。
買いだめしたのがまだあるのでまずそれを飲みきろう。

お試し用の紅茶もひとつずつ買う。

そして。
スカートを買う。一万円。スカートとしては最高金額である。
いいんだ。フェアトレード。


ぶっくおふの段ボールを積み上げる。
本箱が全然空いた気がしないのはなぜ。

私の書籍は大方傍線が引いてあるので売りに出せない。
昔の古本屋なら持って行けそうな気はするのだが。
文庫本は相当ぼろい。

もう一度見直して漫画をもう少し減らそう。
尤も漫画を売るのはまた買う為の場所づくりだが。
そして旦那に本棚の場所を提供しよう。
競馬必勝法ばかりだったが、クラッシック関係が増えたから。


大学から封書が届いたから息子に「ラインで開封するかどうか訊いて」と頼む。
ヨーロッパだろうが隣の部屋だろうが瞬時に繋がる。
留学の時スカイプで話して「便利だ」と思ったが、それ以上である。パソコンも必要ない。

「ぐーぐるまっぷ　最強」と方向音痴の娘が、それ頼りにあちこち移動する。
国内のみならず外国も。そして「時刻表も出るんだよ」と言う。
イギリスの地下鉄まで日本で分かる。

それらの情報をもとに都市観光の計画を立てる娘。

なんか違う。それは違う。
トーマスクックをめくる楽しさと違う。わくわくと違う。
まるであてにならない発着案内を頼りにホームを飛び歩く、あのスリルと違う。
道に迷って言葉も通じず、地図を広げて指さして貰うどきどきも味わえない。

一か月会えないと送り出した娘と、指先ちょいちょいで繋がる。


つまらない。


「風邪をひく気がしない」
そう言っていた息子が鼻水を垂らす。それだけでは風邪かどうか分からない。
と言っているうちに咳が出た。
「咳止めない？」　探したら錠剤があった。
飲んで三分後「おお　効いた　治った」と言う。
「あんた　プラシーボにも程がある」

かつて旦那が病院帰りに「治った」とパチンコ店に入った。
かつて旦那が疲労回復に効く錠剤を飲み、十分後に「元気が出だ」と言った。

血は争えない。