概要
北関東のローカル輸送を担う2両編成の電車。
この通勤通学・近郊の用途に場違い承知で使用されていた165系電車を置き換える目的で1988年に誕生した。
当時民営化直後だったJR東日本の「ちょっと力だめししてみんべぇ」という意気込みにより、全車が自社の整備工場で製造された。その際、通常なら外注品となるモーターや制御器・台車・クーラーなどの機器類は置き換え対象の165系から供出・転用している。現在は絶滅してしまった165系が恋しい貴方、107系に乗りましょう。
車体は3扉、車内はロングシートで中距離旅客も想定できる路線で運用するには少々物足りないものがあるかもしれない。ちなみに2両編成のうち一方に設けられている便所、その通路を挟んだ反対側は前後方向を向くクロスシート(先着2名様)となっている。どうしてもクロスシートで旅をしたい方は狙ってみてはいかがだろうか。
性能は165系のものにギヤ比変更などの調整を加え、加速性能を重視したものとなった。また運用路線の性格から、勾配への対策や霜取りパンタグラフの追設(日光線のみ)も行われている。
運用
先述の通りJR東日本が全車を保有し、所属する車庫により日光線(2013年引退)と両毛・信越・上越・吾妻各線の2地域で活躍している。
各路線では2両編成という最小単位を生かし、時間帯ごとの乗客の多寡に応じて最大6両まで連結し運行する。
日光線(引退)
本系列が最初に投入された路線。番台区分として0番台と呼ばれるほか、所属の関係で小山車などと呼ばれる。
宇都宮駅から日光駅までを結び、沿線の通学輸送のほか日光への観光客を新幹線から引き継ぐ役割も持っていた。
車体は「N」字をモチーフに沿線の緑と日光の社寺の赤を使用した塗り分けが登場以来施されてきた。本項目の段落見出しのデザインはそれをイメージしたものである。しかし日光線のイメージアップをねらうJR東日本の方針により、沿線の駅舎とともにアイボリーと濃茶のツートンに塗り替えが行われ全ての車両が改められた。
しかし2012年9月、日光・宇都宮線運用の107系については、2013年春までに順次205系(元京葉線車両)に置き換えられることがJR東日本より正式に発表された。その後一部の編成には「ありがとう 107系」の文字が掲げられ、2013年春のダイヤ改正を以って一斉に置き換え。その後4編成ずつ、2回に分けて長野送りとなって0番代は消滅した。
両毛・信越・上越・吾妻線
高崎駅を中心に各方面へと伸びるこれらの路線に投入されたものは、車体にピンクと緑の帯を何条も巻きメルヘンチックな印象を与える。100番台で高崎車/新前橋車などと呼ばれる。
各線で115系と共に運用され、片やクロスシート、一方こちらはロングシートといった具合に旅行者を一喜一憂させることもしばしば。東京近郊区間大回り乗車の道中に両毛線で世話になった方も多いのではなかろうか。
そんな100番台も、211系3000番台に順次置き換えられ、2017年までに8本が廃車されたが、残る7本のうち、廃車予定の1本を除く6本は上信電鉄に譲渡される事が決まり、引き続き北関東でその姿が見られる事になる。
関連動画
車両経緯