姫路競馬場とは、兵庫県姫路市にある場外馬券売り場地方競馬場である。
正式名称は「姫路公園競馬場」。
園田競馬場とともに兵庫県競馬組合による地方競馬が開催されるほか、園田競馬開催時には場外発売が行われる。また、2003年度からJRAの場外馬券売場(WINS姫路)としても使用されている。
概要
1949年に開場。以来、園田競馬場とともに兵庫県競馬組合による地方競馬の開催場となっている。
現在、ひとつの地方競馬主催者が二場で開催を行うのは、ほかに岩手県競馬組合(水沢・盛岡)のみであるが、岩手競馬では水沢競馬場がメインながら、盛岡競馬場もある程度の開催数が確保されているのに対し、こちらは古くから圧倒的に園田競馬場での開催がメインで日程が組まれており、姫路競馬場は非常に影が薄い。
近年は集客がもともと多くない姫路へ遠征するよりも、より大きなマーケットを抱える阪神地域からの集客を中心に据えるべくますます園田での開催ばかりとなり、姫路は場内の工事と重なるなどして開催なしとなった年もある。2012年は園田競馬場がナイター設備設置工事で長期間使用できない事情があったため、7〜8月にまとまって例年より多めに開催されたが、もともと平日開催の上に開催日数が極端に少ないため特殊事情でもない限り、いわゆる「旅打ち」派にとっては難易度が相当高い競馬場である。
このような状況から、競馬場と名は付けど、年間のほとんどは場外馬券売り場と化しており、また、かつては競馬が行われていても、姫路市内で宣伝されているわけでもなく、話題になるのは「かつてのJRA史上最高配当だった1950万7010円の馬券の2票のうち1票を発券したのがここ」という記録か、年明けに行われる「全国凧あげ祭り」という凧あげ大会の会場となった時ぐらい(現在は行われていない)という有様であった。
そして2012年の開催後は、7年あまり全く本場開催が行われなくなった。これは近くを流れる船場川が洪水被害を起こすことがあるため、被害を防ぐべく競馬場の内馬場の大半を掘り下げ、緊急時には水を流し込む「洪水調整池」として使用するための改造工事が行われたため。関連工事はそれ以前から行われていたのが本格化したもの。合わせてスタンド設備の改装工事も行われたために完成は当初予定から遅れに遅れていたが、2019年3月にやっと完了。同年4月にグランドオープンした。その後走路の改良を終え、2020年1月よりついにレースの開催を再開。再開にあたっては姫路駅前に開催を知らせる横断幕が掲げられたり神姫バスに競馬場PRのラッピングバスが登場するなどのプロモーションも行われた。
なお姫路競馬場のレース再開後の報道によると、兵庫県競馬の経営が厳しくなっていた時期には売り上げが低い姫路競馬場の廃止が検討に上がっていたという。しかし園田競馬場1場では馬場をメンテナンスする期間が取れず通年開催に支障をきたすことから定期的に姫路競馬場に開催を移すことで、兵庫県競馬の通年開催を維持しつつ園田競馬場のメンテナンス期間も確保する方針へ転換。姫路競馬場の改修に踏み切ったという。春~秋は園田競馬場のナイター開催もあることから、基本的に姫路競馬の開催はそれ以外の時期に短期間行われることが基本となり、2020年は1月下旬から2月にかけて、2021年は大規模改修のため1月から4月上旬にかけて開催された。以後は南関東がナイター開催を行わない1月中旬~3月下旬にかけての開催が定着している。
なお、改修前最後の2012年に比べるとネット投票のシェアが大きくなったことで2020年の姫路開催は園田開催と比べても極端に売り上げが落ちることはなかったという。
コース・施設
1周1200m、直線230mのダートコースを有する。これはいずれも園田より長いが、いずれにしろ小規模な小回りコースであることには変わりがない。フルゲートは園田と同じ12頭。かつては典型的な小回り競馬場で圧倒的に先行有利とされていたが、2020年のレース再開時に内ラチ沿いの砂が深く調整されたとのことで、その傾向は変わったという。
なお「姫路『公園』競馬場」なので、以前は内馬場には軟式野球もできる球技場や児童公園が設けられていたが、改装工事後は新しく人工芝サッカー場が設けられた。これらは競馬非開催日に利用可能。
コースやパドックの走路が、観客の位置よりも低くなっているため見やすいという特徴があり、スタンド正面からの風景はのどかで緑が多く(視点を変えると住宅地やイオンなど商業施設の看板が目に入るが)、工場や空港に囲まれる園田とはまた違った雰囲気があるため、姫路の雰囲気を評価する意見もある。
かつては着順表示板のほかSDサイズの大型ビジョンも設置されていたが、2019年にビジョンをHDサイズに大型化し着順掲示もビジョンに内蔵された。一方、パドックには昔ながらの黒板に白チョークで手書きされた出走馬掲示板があり、これが縦長かつかなり凝った文字で書かれていることから、ネット上でその独特さを話題にする者もいる。
スタンド内には食事を摂れる店が皆無だが、その代わり入場門付近に「無料休憩所」と偽った記された建物があり、ここに食事を出す店が何店か入っている。その店の縄張りの席に座ればお店の人がさっと注文を聞きに来るのが無料休憩所クオリティ。なお、ときおり「客引きをされる」という表現がされているが、お昼時はそれどころではないのでご安心を。メニューはどこも大差がないが、園田競馬場でも見かける屋号がちらほらあり、そういう店では園田より設備が整っているのか、園田では売っていないメニューがあったりする。元兵庫競馬・現JRAの騎手である岩田康誠はこういった姫路競馬場周辺の食事処の子供で、店に来た競馬ファンに騎手になることを勧められ騎手の道に進んだ。なお改装工事後のスタンド内には新たに卓球場やダンスレッスンが出来るスタジオも作られた。
アクセスについては、最寄り駅はJR播但線野里駅ということになっている。道中にはイオンもあるので食事を買い出すことも出来たりする。しかし、播但線は中心駅であるJR姫路駅での乗り換えが必要なことが大半。このため、姫路駅と山陽電鉄山陽姫路駅の北側に専用のバス停があり、神姫バスによる無料送迎バスが運行されているが、園田競馬場の阪急園田駅発着便のような随時発車ではないため、ダイヤを確認しておかないとバスがなくなり、ふつうの路線バス(神姫バス「競馬場前」が最寄り)を使うことになるので注意(ただし、路線バスは本数が多いので利用はしやすい)。なお、有料駐車場もあるのでクルマでの来場も可能。
関連動画
定例の重賞競走「白鷺賞」。開催の減少により長らく休止されていたが、2020年に15年ぶりに復活した。