ATSとは、次の略である。
- 自動列車停止装置 (Automatic Train Stop)
- 航空交通業務 (Air Traffic Service)
- バイオハザード4のサブストーリーのひとつ (Ada The Spy)
- 軌跡シリーズのステータスの一つでオーバルアーツや魔法扱いの攻撃力の高さを表す
- アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ (Accenture Technology Solutions)
- Akiba.TVチャンネルにて金曜21時30分より放送されている番組名
- SCS Softwareが開発したトラックゲーム。アメリカン・トラック・シミュレーター (American Truck Simulator)
詳細はこちらから→ Amrican Truck Simulator (ATS)
本項目では1.について述べる。
概要
ATS(自動列車停止装置)とは、列車の衝突防止・速度超過を防止するための安全装置のことである。
地上に設置されてる赤・黄色・緑の信号に従って走っている路線はATSを採用している、といっておk(基本的には)。
動作原理とかは事業者や線区によっても大きく異なるため、突き詰めるときりがなくなる(おまけに相当マニアックな展開になる)のであえて挙げないでおこう。
ただ、基本的にこの装置によってブレーキを掛けられるという事態はあまりよろしくないというところが、ATC(自動列車制御装置)と思想的に異なるところである。
※ATCは速度計の周りにある表示器でしか進行or停止(さらには最高速度)を知る手段がない(基本的には)。結果、非常ブレーキ以外は動作してもいいことになっている。
主なATSの種類
打ち子式ATS
おそらく日本でもっとも古い形式のATS。
現示速度を超過していると打ち子がブレーキ弁に引っかかり、停止させるというもの。
現在の東京メトロ銀座線で採用された。動作は確実だが動作に時間がかかるため
列車密度に限界があるなどの欠点があるためすべて別の保安装置に更新されており
現在日本では使用している路線はない。
ATS-B
国鉄時代に使用されていたATS。
ATC移行前の山手線や京浜東北線など、いわゆる「国電」区間で使用されていた。
現在のATSと違い地上子ではなく軌道回路を用いて速照を行っている。
(車上装置の通電・非通電の時間で照査する速度を設定している)
JR化後にATS-P型またはATCに置き換えられ消滅している。
ATS-S
国鉄時代から使用されているATS。
旧国鉄が全国的に採用していた事もあり、今も多くのJR路線で使用される。
なお、ATS-Sでは、停止信号に対する直下地上子を踏んでも警報のみでブレーキが動作しなかった。
この欠点により、信号通過後のミスによる冒進事故はたびたび起きている。
また、福知山線事故以降保安装置の速度照査機能が義務づけられたが、
JR西日本の七尾線においてATS-SW型ではなくATS-S型が使用されていたことが問題になった。
現在では、JR東日本やJR北海道のATS-Sn(強制停止機能付加)
一定速度以上で通過してもブレーキが掛かるJR東海のATS-STなどに改良されている。
また、JR東日本のATS-PsやSN'形(表記は●)、JR東海のST形・JR西日本のSW形・JR四国のSS形・JR九州のSK形、JR貨物のSF型は、
2点タイマー式速度照査により任意の地点で速度照査を行うことができる。
また、Sn型の改良版SN型とSK型は分岐器用速度照査機能を持っており、
速度制限のある分岐器が近づくとロング警報が鳴る。(SK型についてはDK型位置確定時は鳴らない模様)
ATS-P
ATS-S型の欠点を改良し、信号現示や速度制限をもとにパターンを生成し、
パターンを超過すると常用最大ブレーキをかけて、パターン速度以下になれば自動で緩解させる方式。
但し、自動空気ブレーキ式の車両では非常制動にて停止し、自動緩解は行われない。
ATS-Sのように信号を超えてから動作するわけではないのでより安全性が高い。
また、信号の手前から減速を行わせるため、安全性を確保しつつ列車同士の距離を短くとることが出来る。
…と高性能なものの、ATS-S型とは全く互換性がない。都合、車両側・地上側ともに更新が必要となる ATS-S形のみを搭載した車両が入線するには、Sx形の設備を残さなければならない。
また、雪などで滑走が起こると減速できなくなった場合停止信号でも冒進してしまうことがある。
JR西日本のATS-P2~P4型では絶対信号機(出発、場内、入替)と最高速度のみ照査を行う
拠点P型という方式をとっており閉塞信号機では従来のATS-Sx型が使用されている。
(ただしJR西は一部線区で通常のATS-P型を使用している)
JR東もATS-Pの簡易版ATS-Pnの設置を進めている。
また、JR東海もATS-PTを導入し従来のST型を淘汰した。こちらは非常ブレーキのみ動作する。
JR貨物ではATS-PFという車上装置を用いている。こちらは機関車列車向けの対応がなされており、パターンをバーで表示する。
近年ではATS-PとATS-SまたはATCなど他の保安装置と統合した車上装置も開発されている。また、本装置が運転状況記録装置を兼ねていることも多い。
ATS-Ps
ATS-Sにパターン照査機能を追加したもの。ATS-S型に対し上位互換性がある。
車両側に走行路線と地上子の設置規則を入力しておくことで、既存のATS-S型設備を流用しつつ
パターン照査機能を実現させている。
パターン速度を超えると自動的に常用最大ブレーキをかける。
運転台に緑と黄色のカラーバー式LED表示機が設置されているため、識別は容易である。
ATS-Dx
新開発のATS。
パターン照査機能を持たせながらも、ATS-Sとの互換性を持たせたもの。
地上子については、ATS-S地上子とサイズ・設置位置を揃えている。
加えて、ATS-Sに対応する周波数信号+デジタル信号の2つを同時に送る機能を持たせているのが特徴。
これによりATS-S型のみ対応した従来型車両との共存を可能としている。
九州向けのATS-DKと北海道向けのATS-DNが存在し、前者は2011年6月、後者は同年11月に使用開始した。
また、西日本向けにATS-DWが導入予定となっている。
パターン照査は場内信号機に限って行うようで、他の信号機に対しては従来のATS-Sしか動作しない。
また、制限速度に対する速度照査も従来のATS-Sによる2点タイマー式のみであり、
正直言ってあまり意味がない。また、パターンが発生した場合パターン更新地上子を踏むまで
パターンが持続するため機外停止位置から地上子まで潜り抜け速度である10km/hで走らないといけないという致命的な欠点があり「遅れを増長させるのではないか」との懸念がある。
DK・DNには将来的な機能拡張構想としては速度制限、出発・閉塞信号機に対するパターン照査や停車駅誤通過防止などがある。
DWはもともとATS-Mとして開発されていた装置であり、ドアの誤開閉防止、停車駅誤通過防止、速度制限防護などが追加されている。
関連動画
(誤出発ではないのに)赤信号でATSに引っ掛ってしまった動画。