SRWare Iron (以下 Iron) とは、ウェブブラウザの一種である。
無料で利用できる。
概要
ドイツの SRWare 社によって開発されている。簡単に言うと Google Chrome (以下 Chrome) の派生ブラウザである。Windows 版の初版は 2008年9月18日。Windows 版以外にも、Linux 版と Mac 版があり、さまざまなユーザーの利用が可能となっている。ドイツ製ではあるが多くの言語に対応しており、もちろん日本語も利用可能である。また Safari や Chrome などと同様、レンダリングエンジンに WebKit (KHTML) を採用しており、高速なレンダリングと Web 標準への高い準拠度を誇る。全体的に Chrome と非常に似ている。というか、ある一点を除いてほぼおなz(ry
特徴など
このブラウザ最大の特徴は、Google に個人情報を送信する機能が搭載されていないという事だといえる。そもそも Chrome には、Google に検索状況などの個人情報を送信する機能が搭載されている。これはデフォルトでは無効になっており、ユーザーが任意で指定しない限り有効にはならない。しかし、そのような機能が付いている事自体が嫌だというユーザーもある程度いるであろう。Iron には最初から個人情報を送信する機能が搭載されていないので安心だ。
また Chrome にはこの他にも、ユーザーを識別するためのIDを各ユーザーに割り振る機能や、自動アップデート機能 (Chrome を起動していないときでも勝手に外部にアクセスし、アップデートを行う) などがあり、これらはユーザーが設定を行って無効にできるものではない[1]。一方の Iron では、それらの機能はあらかじめ削除されており、ユーザーにIDが割り振られたり、勝手にアップデートされるようなことはない。
動作の高速性などで話題となり、急激にシェアを伸ばしている Chrome だが、個人情報周りで嫌な思いをした事があるユーザーや企業などの中には、導入に慎重になっている人もいるのではないだろうか。Iron は Chrome の高い能力はそのままに、個人情報を送信するような機能など、ユーザーの不安になりうる機能だけが削除されている。Google による情報収集が心配でこれまで Chrome を導入してこなかったユーザーも、Iron であれば安心して使うことができるのではないだろうか。また、個人情報に関して特に心配しておらず、Google を全面的に信頼しているユーザーや、今偶然この記事を読んでいるあなたも、Chrome の高い能力を受け継ぎいいとこ取りした Iron を是非導入してみて欲しい。
機能・その他
先述の個人情報に関する扱いを除けば、機能をはじめユーザーインターフェースや性能なども Chrome とほぼ同じである (ただし、若干追加された機能もある[2])。高速な JavaScript エンジンであるV8もそのまま搭載されており、軽快なブラウジングが期待できるし、Chrome の拡張機能である Extensions (Firefox でいうところのアドオン) もインストールすることができる。Chrome の市場シェアが高まってきている事を受けて Extensions の種類も絶賛増殖中なため、今後も Chrome とともに更にカスタマイズ性が高くなっていくものと思われる。また、起動オプションの設定等のノウハウも Chrome と同様なため、既に Chrome を使っている人が導入する場合もスムーズに移行できるのではないだろうか。
ちなみに Iron の翻訳機能を使って公式サイトを翻訳すると、"SRWare Iron" は "SRWare鉄" と翻訳される。
まあ翻訳機能についても Google Chrome や大元の Chromium と同じ仕様なんだろうから仕方ないね。
このあたりは、将来のアップデートによって改善される事を期待したい。
またそれ以外の詳細な機能等については Google Chrome の項目を参照されたい。
個人情報関連以外の作りは Chrome とほぼ同じであるので、大いに参考になるかと。
Ironを使用する上で便利な小技
偽装方法(Windows)
- SRWare Ironのショートカットを右クリックする。
- プロパティを選ぶ。
- [リンク先]欄の一番最後に「--user-agent="任意のユーザーエージェント"」を付け加える。(鍵カッコは不要;最新版のChromeのユーザーエージェントについてはこちらを参照のこと。)
<例> "C:\Program Files\SRWare Iron\iron.exe" --user-agent="Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1) AppleWebKit/536.11 (KHTML, like Gecko) Chrome/20.0.1132.57 Safari/536.11"
偽装方法(Mac OS X)
ターミナルに以下のコマンドを入力する:
/Applications/Chromium.app/Contents/MacOS/Chromium --user-agent="任意のユーザーエージェント"
偽装方法(Linux)
ターミナルに以下のコマンドを入力する:
chromium-browser --user-agent="任意のユーザーエージェント"
※参照:Run Chromium with switches (flags)
Chrome との関係
Iron の存在位置及び Chrome との関係を説明する上で欠かせないのが Chromium の存在である。
まず、Chrome はオープンソースプロジェクトである Chromium をベースに開発が進められているブラウザである。Google は先述の情報送信機能や自動アップデート機能などを Chromium に追加して、Chrome として公開している。一方の Iron も、Chromium をベースに開発が進められているブラウザである。ドイツの SRWare 社が、情報送信機能や自動アップデート機能などを Chromium に追加せずに、Iron として公開している (ただし Chromium をそのままビルドして公開している訳ではなく、Chrome にはない独自の機能[2]を追加したりしている)。
派生元を親、派生先を子とするならば、Chrome や Iron は Chromium を親とする子であり、Chrome と Iron の関係は兄弟もしくは姉妹であると言えるかもしれない。
なお、先ほどは一言で簡単に説明するために "Iron は Chrome の派生ブラウザである" という旨のことを述べたが、この表現は Chrome との関係を厳密に考えると好ましくないはずであり、"Iron は Chrome の大元的な存在である Chromium の派生ブラウザである" などと表現する方が適切であると思われる。