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惧
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おそれ
ふりがな文庫
“
惧
(
おそれ
)” の例文
雨風の
患
(
うれえ
)
のない、人目にかかる
惧
(
おそれ
)
のない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
依て此石を庚申塚に祭り上に
泥土
(
どろ
)
を
塗
(
ぬり
)
て光をかくす、今
猶
(
なほ
)
苔
(
こけ
)
むしてあり。
好事
(
かうず
)
の人この石を
乞
(
こ
)
へども
村人
(
そんじん
)
祟
(
たゝり
)
あらん㕝を
惧
(
おそれ
)
てゆるさずとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
采配
(
さいはい
)
を揮つたのは與力の笹野新三郎、夜は曲者を逃がす
惧
(
おそれ
)
があるので、わざと林の中の捕物に眞晝を選んだのは、錢形の平次の智惠だつたのです。
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此間は危険の
惧
(
おそれ
)
はないが、何回となく困難な徒渉と崖へつり、又は高廻りを行わなければならない。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
すなわち事情が判然せぬために、思想までが大変違うように思わしむる
惧
(
おそれ
)
がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
これに反し戦争の惹起を防ぐ重圧を与えるために原子爆弾の存在を許すこととなれば、それを有効に管理しない限り、何時それが悪用せられ人類文化の破壊に導くかも知れないという
惧
(
おそれ
)
がある。
原子力の管理
(新字新仮名)
/
仁科芳雄
(著)
芸術家の経済的窮乏が芸術家と政府とを
惧
(
おそれ
)
しめる結果になることを惧れているけれども、一個の芸術家が生ける屍として現れるのは、あながち経済的窮乏のみによらないことを教えられるのである。
文芸時評
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ひいてはこうした
惧
(
おそれ
)
のある一切の競技迄白眼視される事になる。
安吾人生案内:05 その五 衆生開眼
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
依て此石を庚申塚に祭り上に
泥土
(
どろ
)
を
塗
(
ぬり
)
て光をかくす、今
猶
(
なほ
)
苔
(
こけ
)
むしてあり。
好事
(
かうず
)
の人この石を
乞
(
こ
)
へども
村人
(
そんじん
)
祟
(
たゝり
)
あらん㕝を
惧
(
おそれ
)
てゆるさずとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
尤も前にも云つたやうに、「
負郭
(
ふくわく
)
の田三百畝、半は
黍
(
きび
)
を
種
(
う
)
う」と云ふので、
飲
(
いん
)
の為に家産が
累
(
わづら
)
はされるやうな
惧
(
おそれ
)
は、万々ない。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この時は若くもあり、元気でもあり、その代り新米の勘定奉行で、
睨
(
にらみ
)
のきかなかった
惧
(
おそれ
)
はありましたが、随分辛辣と思われるほどの仕事もやって
退
(
の
)
けました。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
従って
徒渉
(
としょう
)
するにも危険の
惧
(
おそれ
)
が少ない。そこを狙って古くから信州と越中との交通路が開かれた、これがスバリ越即ち針ノ木峠を
踰
(
こ
)
えて黒部川を横断し、ザラ峠を経て立山温泉に至る路である。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
もし舞妓にきまりの悪い思ひをさせる
惧
(
おそれ
)
がなかつたなら、お前は
丁度
(
ちやうど
)
五度
(
ごたび
)
鼻洟
(
はなみづ
)
を
啜
(
すす
)
つたぜと、云つてやりたかつた位である。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おほかみ/\
惧
(
おそれ
)
ざらんや
恥
(
はぢ
)
ざらんや。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかし風雨の森林を長い間さまよった
後
(
のち
)
この危害の
惧
(
おそれ
)
のない、暖な洞穴に坐っているのは、とにかく快いには違いなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おほかみ/\
惧
(
おそれ
)
ざらんや
恥
(
はぢ
)
ざらんや。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「これは患者の頭を
冷
(
ひや
)
す所ですがね、ただじゃあばれる
惧
(
おそれ
)
があるので、ああ云う風に袋へ入れて置くんです。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さうしてさう云ふ不純な動機から出発する結果、
屡
(
しばしば
)
畸形な芸術を創造する
惧
(
おそれ
)
があると云ふ意味である。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さもないと、私がこの手紙を閣下に差上げる事が、全く無意味になる
惧
(
おそれ
)
があるのでございます。そのくらいなら、私は何を苦しんで、こんな長い手紙を書きましょう。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
勿論これだけの自覚があつたにしても、一家
眷属
(
けんぞく
)
の口が乾上る
惧
(
おそれ
)
がある以上、予は怪しげな語学の資本を運転させて、どこまでも教育家らしい店構へを張りつづける覚悟でゐた。
入社の辞
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに
提
(
ひさげ
)
に入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を
火傷
(
やけど
)
する
惧
(
おそれ
)
がある。
鼻
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
善くか、悪くかは、場合場合でちがふがね。え、
偽
(
いつはり
)
を
真
(
まこと
)
に代へる
惧
(
おそれ
)
がある?
冗談
(
じようだん
)
云つちやあいけない。甲が乙に対して持つてゐる考へに、
真偽
(
しんぎ
)
の別なんぞ、あり得ないぢやあないか。
創作
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惧
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“惧”を含む語句
危惧
疑惧
憂惧
可惧
危惧心