奈良ってどんなところ?
奈良は、日本の最初の歴史が凝縮している観光地です。古事記や日本書紀に登場する神武天皇以下の歴代天皇やその家臣たちの活躍のほとんどが、現在の奈良県大和地方で統治していました。それは飛鳥時代と奈良時代まで続きます。
奈良の大仏と鹿がいる奈良市の他にも西ノ京や斑鳩(いかるが)など、奈良盆地に歴史的な見どころが多く、東側の大和高原エリア、南部の山岳エリアにも、歴史の重みを感じるスポットが点在しています。
奈良のグルメはイメージがつかみにくいですが、奈良漬け、三輪そうめんは全国的に有名。そのほか大和牛や飛鳥鍋などの伝統的な食から、天理ラーメンのような新しい味まで意外と奥が深いです。
奈良公園周辺の狭い範囲、奈良盆地に点在しているスポット、そしてさらに郊外と奈良の旅はいろんなスタイルに対応しています。行先をしっかり絞って、数回に分けて旅をしたいところ。レンタカーなども大変便利です。
奈良旅行の見どころ
奈良で世界遺産の大仏と鹿、有名どころを堪能できる
奈良旅行で一番のおすすめは、誰もが知っている「有名な存在」に出会えることです。世界遺産に登録された建築物の数々、知らない人を探すほうが難しいといえる、奈良の大仏と奈良の鹿。このどちらも一度の旅行で見ることができます。
奈良の大仏は、その大きさもさることながらそれをすっぽり覆う大仏殿も侮れない巨大さ。世界的にも有名スポットなので、多くの外国人観光客の姿を見かけます。歴史の教科書にも登場しますから一度は見るべきスポットです。
奈良の鹿は、所有者のいない野生種ですが、奈良公園内に自由に出入りしています。そしてすぐ近くまで接近することができます。園内で販売されている「鹿せんべい」を渡すと、われ先にと寄ってきて目の前で争奪戦が繰り広げられます。
奈良で京都よりも古い歴史ある建築物を鑑賞できる
奈良のすごいところは、国宝や重要文化財の多さです。京都と並んで文化財の宝庫といえ、それほど知名度がない寺院の建物や仏像が国宝だったり重要文化財だったりしますから驚くばかり、あまりにも多いので値打ちが無い錯覚に陥ります。
そしてもうひとつ、奈良の文化財の多くは京都よりも歴史のあるものがほとんどです。京都の平安京に遷都する前は、奈良や飛鳥に都があったので当然なのですが、1300年以上も昔にある数多くの文化財の見ごたえは素晴らしいです。
京都よりも古い建築物が見られるのは、奈良公園をはじめ西ノ京、法隆寺のある斑鳩、そして飛鳥地方です。これらは奈良時代や飛鳥時代に創建した建物や仏像などで、当時から現存している物がいくつかあり、ぜひ押さえておきたいところです。
奈良でいにしえの古道を静かに散策できる
日本の国が始まったのは奈良県大和地方ということもあり、飛鳥時代よりもさらに古い、古墳時代の名残もあるのが特徴です。そして奈良盆地などでは古道とよばれる非常に古い道が整備されていて、実際に散策することができます。
代表的なのが、奈良盆地の南東に位置する山の辺の道です。これは天理市と桜井市を結ぶ古道で、周辺に天皇陵などの大小さまざまな古墳や創建年代がはっきりしないほど古い神社などが残っています。そのため歴史を感じながら散策できます。
また、飛鳥時代の遺跡が残る飛鳥の地も散策にバッチリ。石舞台古墳や高松塚古墳など有名な古墳があり、また飛鳥寺などの歴史的な寺院の名残を見ることができます。ここは徒歩も良いですが、レンタルサイクルでも楽しめます。
奈良で秘境・山深い地にて神々の宿る豊かな自然に触れられる
奈良でも南部は、自然に覆われた地域となっていて、秘境という名にふさわしい場所がいくつかあります。一番行きやすいのは、桜の名所でも有名な吉野地方で、桜のほか南朝の名残や歴史を感じる建造物をいくつも見られます。
吉野から山の中を進むと天川村の大峯山まで修験道の行場・道が続いています。その天川村にはパワースポットが複数存在します。また洞川温泉という山に囲まれた昔ながらの温泉街、そして美しいみたらい渓谷もあります。
奈良の最も南には十津川村があります。日本トップクラスの面積を持つ村は、生活用に使われている、谷瀬の吊橋や複数の温泉地があります。泉質も複数存在しており、温泉通も満足のレベル。自然に囲まれた旅館では秘湯が味わえます。
奈良で歴史を感じながら味わう伝統食と新しいグルメが食べられる
奈良は歴史と自然の宝庫ですが、グルメも負けていません。伝統的な郷土料理から比較的新しいご当地グルメまで個性的な味が楽しめます。海の無い県でもあるからこそのグルメ「柿の葉寿司」は、奈良の各地で味わえます。
古代から伝わるグルメも数多く、全国的にも有名な奈良漬けや三輪そうめんもそういうグルメのひとつです。また庶民の食事としても根強い茶粥や、古代から飼育されていたブランド牛、黒毛和牛の大和牛の味わいも侮れません。
また、奈良の中でもローカルな食べ物がいくつかあり、古来の渡来人が持ち込んだ飛鳥鍋もそのひとつです。同じく飛鳥には懐石料理店が研究して作った万葉おやきなどもおすすめ。また天理のご当地ラーメンもスタミナのつく味わいです。
1.【北部】奈良エリア
奈良エリアは、最も観光地奈良のイメージに合う場所。奈良の大仏や鹿がいる場所で、若草山や春日大社など複数の観光地と一体化するように広大な奈良公園が広がっています。奈良国立博物館もこの中にあります。
奈良公園のほかにも、古い町並みが残るならまちは、20世紀末よりまちづくりが行われ、観光客が絶えないエリアとなりました。どちらも近鉄・JR奈良駅と徒歩圏内にあるので、セットで回るのにもちょうど良いです。
奈良公園
奈良公園は、奈良市の中心にある都市公園で、奈良国立博物館など奈良市の他の観光スポットと隣接していて一体化しています。1880(明治13)年に開園し、国有地を奈良県が無償で借用。周辺も含め総面積は660ヘクタールです。
奈良公園といえば鹿が有名。野生動物として国の天然記念物に指定され、公園内を中心に1,200頭ほど程生息しています。万葉集にも奈良の鹿が詠まれ、人間とのかかわりの歴史が古いのがわかります。
奈良公園は、にほんさくら名所100選にも選定されており、美しい桜が観られます。そして秋も赤く染まる紅葉の素敵な風景が広がります。四季を通じて世界中から観光客が訪れるこのスポットは、門や柵もなく無料で24時間入れます。
東大寺
東大寺は奈良公園に隣接する華厳宗(けごんしゅう)の総本山・仏教寺院です。いわゆる奈良の大仏が鎮座していて、その大仏を収容している大仏殿は正式名称が金堂。そして創建当時は世界最大級の木造建築物で、国宝に指定されています。
奈良の大仏の正式名称は、東大寺盧舎那仏像(とうだいじるしゃなぶつぞう)です。聖武天皇の発願により752年に完成し開眼供養会が行われました。高さは14.7メートル、基壇の周囲は70メートルあります。
東大寺には大仏殿の他にも見どころが豊富。南大門や正倉院など、一通り伽藍(がらん)を観るのがおすすめです。その中でもぜひ見ておきたいのが二月堂。旧暦2月のお水取りで有名ですが、ここは境内の高台にあり、夕暮れ時に見渡せる奈良市内は絶景です。
若草山
奈良公園の東にある芝生の山が若草山。標高342メートルの山で、なだらかな斜面ということもあり、簡単に頂上を目指せます。入口から見える一重目、その後続く二重目を越えると三重目の山頂になり、展望台からは絶景が広がります。
若草山は厳重に管理されており、24時間自由には登れません。9時から17時までで、期間も3月第3土曜日から12月第2日曜日までと決まっています。また有料で中学生以上150円、3歳以上80円となっています。
入山の時間外ですが、山頂近くにドライブウェイが通じており、駐車場があります。車で駐車場に向かえば、併設している展望台からは素晴らしい夜景が。新日本三大夜景に指定されているので、ぜひ訪れたいところです。
春日大社
奈良公園に隣接する春日大社は、1,300年の歴史があるパワースポット。平城京造営の際に茨城県の鹿島神宮、千葉の香取神宮、大阪の牧岡神社から神々を招きました。現在は神社本庁の別表神社として全国春日大社の総本社です。
春日造りの本殿は、創建以来20年に一度建て替えや修復を行う習わしがあります。建物は4棟並んでおり、それぞれ春日大社の主祭神4柱が鎮座。また縁結び、夫婦円満のご利益・効果があるとされます。
春日大社には本殿のほか、十五社めぐりができる若宮や九社めぐりができる水谷などの末社があります。また広大な敷地の散歩、特に飛火野(とびひの)は、芝生の原となっていますから、晴れた日のピクニックもおすすめです。
興福寺
奈良公園の西側と隣接している興福寺は、法相宗(ほうそうしゅう)の総本山・仏教寺院です。天智天皇の時代にあった山階寺(やましなでら)からの流れをくみ、飛鳥の厩坂寺を経て、710年に藤原不比等によりこの地に移されました。
東大寺と並んで南都六宗の一つとして、中世くらいまでは強大な勢力がありました。現在も立派な伽藍が残っており、その中には国宝に指定された有名な五重塔や、同じく国宝の三重塔などが並んでいます。
ほかにも複数の金堂や南北の円堂など見どころがあるので、ゆっくり眺めたいところ。特に文化財の収蔵と展示を目的に1959年に建てられた国宝館は、貴重な文化財が展示されており必見です。
ならまち
ならまち(奈良町)は、奈良公園の西南、JR奈良駅、京終駅に囲まれた一帯です。奈良時代に平城京の外京として整備されたエリアで、南側の4分の1程度が、旧市街として現在まで維持されました。
江戸時代にはお伊勢参りの宿場町として栄えたこのエリアは、1980年代に見直され、古い町並みを活かしたまちづくりが行われました。現在はおしゃれなショップやカフェが並び、観光客が絶えることがありません。
町の中には、カフェやショップに混じって名所がいくつかあります。世界遺産の元興寺をはじめ、ならまち格子の家やからくりおもちゃ館など。奈良公園の観光の後に、街歩きをしながら立ち寄ってみたいスポットばかりです。
2.【北部】平城宮・西ノ京エリア
平城宮・西ノ京エリアは、奈良の西側にあって奈良エリアほど観光客がいません。そのため静かに観光できます。奈良時代の政治の中心だった平城宮跡では、20世紀末からかつての朱雀門や大極殿が復元され、新しい観光地として注目。
平城宮の周辺にも、西大寺や秋篠寺、佐紀・佐保路といった見どころが点在します。また平城京の西半分だった西ノ京には、のんびりした雰囲気で、現在唐招提寺と薬師寺の二大寺院だけが存在。天平文化の息吹が感じられます。
平城宮跡
平城宮(へいじょうきゅう)跡は、奈良時代の都「平城京」の政治の中心部でした。長く広大な敷地が広がっていましたが、整備計画が行われ、朱雀門や第1次大極殿が、創建当時のまま復元されました。
いち早く1998年に復元された、朱雀門(すざくもん)は、平城宮の正門として、近鉄奈良線の線路の南側に。続いて2010年復元されたのが第一次大極殿です。奈良時代当時の宮殿の建築技術、姿が再現されており、見ごたえ十分です。
平城宮は他にも、朱雀大路や二条大路が復元され、徐々に奈良時代の様子が体感できるようになりました。また東西の遺構も徐々に整備されてきています。また、中央部にある平城宮いざない館では、当時の姿や出土品などが見られます。
唐招提寺
唐招提寺(とうしょうだいじ)は、かつての平城京の西側、西ノ京にあります。世界遺産にも登録されており、南都六宗のひとつ律宗(りっしゅう)の総本山・仏教寺院です。759年に中国の唐出身の鑑真が創建し、晩年を過ごしました。
立派な伽藍の入口にある南大門こそ1960年の再建ですが、正面の金堂をはじめ、背後にある講堂や鼓楼、宝蔵、経蔵といった建物はすべて国宝。この他にも重要文化財クラスの建物が創建当時からの威容を保ちます。
新宝蔵は、唐招提寺ゆかりの文化財を、管理収蔵目的で1970年に作られました。年に3回公開される期間があります。また境内には1688年に松尾芭蕉がこの地に来て鑑真坐像を前に詠んだ一句を刻んだ石碑もあります。
薬師寺
薬師寺は興福寺と同じ法相宗の大本山で、680年の天武天皇の時代に当時の都だった藤原京の場所に創建されました。その後平城京へ遷都と共にこの場所に移ります。ちなみに移転後も元の寺院はしばらくの間、本薬師寺として存在しました。
薬師寺は、伽藍のほとんどが創建当時の様式で20世紀に再建されましたが、唯一東塔だけは、創建時代から残っている唯一の物として国宝に指定されています。江戸時代以前から残る日本の仏塔として4番目の高さがあります。
薬師寺の本尊である薬師三尊像は、国宝に指定され金堂内に安置しています。またこの他に鎌倉時代に再建された東院堂も国宝。境内に新しく再建された伽藍の建物と文化財を見比べながら、散策するのも良さそうです。
3.【北部】生駒エリア
奈良の西北、大阪との県境にある生駒・信貴山は、大阪からのアクセスも便利。山上にはスカイラインが通じていて車で行きやすいです。生駒山には山上に遊園地があり、信貴山には世界一大きな張り子の寅がいます。
生駒山と信貴山の間には、江戸時代の雰囲気が残る暗峠があります。そこからは最高の夜景。また暗峠から少し南側にある十三峠はスカイラインの駐車場もあり、車で気軽に天空からの絶景が見られます。
生駒山
生駒山は、大阪府との県境にある標高642メートルの山。三条まではケーブルカーがあり気軽に山頂に登れます。修験道を開いた役小角(えんのおづぬ)が鬼退治をした伝説があり、現在はテレビ局の送信所が並んでます。
生駒山の山頂に生駒山上遊園地があります。乗り物代は有料ですが園内は無料。国内最古の飛行塔があり、標高が高い場所にあるため、乗り物からの眺めは想像以上にスリルがあります。また小さな子供でも楽しめる乗り物が多いです。
生駒山の中腹に生駒聖天こと宝山寺があります。山麓からは日本最初のケーブルカーの営業路線で簡単にアクセス可能です。655年に役小角が修験道の道場として創建。江戸時代以降は商売の神として信仰を集め、年間300万人が参拝します。
暗峠
暗峠(くらがりとうげ)は、国道308号線にある標高455メートル地点の峠で、奈良と大阪の県境にあります。峠までの道のりは急こう配が続く難所で、峠付近は昔ながらの石畳。それは国道として日本で唯一の場所です。
峠までの道のりは、急こう配のほかに石仏や古寺、道端に地蔵などがあり、峠越えのハイキングコースとして人気です。暗がりの名の由来は諸説あり、また暗越え奈良街道として日本の道100選にも選定されています。
暗峠の石畳は、江戸時代に大和郡山藩が参勤交代で、殿様の駕籠が滑らないように敷設しました。そこには茶屋もあり、ゆっくり過ごすことができます。峠から見下ろせる大阪側の絶景が見事で、特に夜景は宝石箱のような美しさです。
信貴山朝護孫子寺
生駒山から南の信貴山まで信貴生駒スカイラインが通じており、山上ドライブが可能。南の信貴山には、朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)があります。信貴山真言宗総本山の仏教寺院で、毘沙門天(びしゃもんてん)が本尊です。
1,400年前に聖徳太子が物部守屋(もののべのもりや)を討伐のために、この山で戦勝祈願をしました。そのときに、天空の毘沙門天から必勝の秘法を授かった伝説があります。その日が寅年、寅日、寅の刻でだったことから、境内には世界一大きな張子の寅「福寅」がいます。
全長106メートルの開運橋を渡って境内に入ると、豊臣秀吉又は秀頼が再建したという本堂をはじめ、江戸時代建立の多宝塔、仁王門、開山堂、鐘楼堂などの建物があります。また国宝などが展示している霊宝館も必見です。
4.【北部】柳生・山添エリア
柳生・山添エリアは、奈良市内の近くにありながら、比較的観光客が少ない穴場エリアです。剣豪の一族として時代劇でも登場する、柳生一族が治めていた柳生の里では、当時の名残を思わせる観光名所が点在します。
柳生の里のすぐ近くにある山添村は、神野山(こうのやま)を中心にめえめえ牧場などの見どころがあります。夜間は天体観測としても有名で、珍しい鍋倉渓や奈良時代の僧行基(ぎょうき)が740年に建立した神野寺などがあります。
柳生の里
柳生の里は奈良市の東にある山里で、日本の古流剣術のひとつ、柳生新陰流発祥の地です。剣豪の町として有名ですが、現在は自然豊かな山里。そこには旧柳生藩家老屋敷をはじめ柳生城跡、柳生家の墓など、大名家としての足跡もあります。
いくつかある観光名所の中でも、正木坂剣禅道場は剣豪の里らしい場所。時代劇などでもその名が知られる柳生十兵衛こと三厳(みつよし)が、弟子を鍛えたとの伝承が残る道場を昭和に再現しました。現在も剣道と座禅の道場です。
そして、柳生の里に来たならぜひ見ておきたいのが、一刀石です。これは柳生の戸岩谷地区にある7メートルの巨石。中央が2つに割れています。これは柳生石舟斎宗巌(むねとし)が、天狗を一刀で切り捨てた時にできたと伝えられます。
山添めえめえ牧場
奈良の東北部、京都や三重との県境に位置する山添村には、めえめえ牧場があります。ここには約50頭の羊が放し飼いされており、のどかに草を食べています。愛嬌たっぷりの羊たちを眺めているだけで癒されます。
牧場内では羊のせんべいを販売。そしてこのせんべいを羊たちにあげられます。せんべいを羊たちの目の前に見せれば、すぐに寄ってきて、おいしそうに平らげます。また敷地内では、羊を見ながらお弁当が食べられます。
牧場内の隣には羊毛館があります。ここは全国的も珍しい羊毛加工の体験学習施設です。牧場の羊から刈り採った羊毛を使って、羊毛グッズ作り体験が可能。羊毛加工の手順を観察しながらオリジナルアイテムを作ります。
フォレストパーク神野山
フォレストパーク神野山は、山添村にある自然公園。標高618.8メートルの神野山を中心としており、めえめえ牧場もこの公園内に含まれます。春のつつじ、茶畑の新芽、秋の紅葉と季節感のあるスポットです。
そして、この山が最も人気なのは夜です。奈良市内からのアクセスが便利なことから、天体観測のために多くの人が訪れます。夜には星空の邪魔になる、灯りを極力おさえていますから暗闇。利用時は懐中電灯が必須です。
神野山の山腹に、地質学的にも珍しい鍋倉渓(なべくらけい)という長さ650メートルほどの黒石群があります。この正体は「はんれい岩」で、あたかも溶岩が流れているかのよう。また耳を澄ませると地下水のせせらぎが聞こえます。
5.【中部】天理・桜井エリア
天理・桜井エリアは、奈良盆地の東南に位置し、日本で最も古い歴史が息づいています。16キロメートルの古道「山の辺の道」周辺には、古墳や非常に歴史の古い神社が点在し、パワースポットとしても非常に魅力的です。
山の辺の道の北側にある天理市は、天理教の本拠地ですが、秋になるとイチョウ並木が美しい姿を見せてくれます。また南側の桜井市周辺には、三輪山が御神体という大神神社や古代のマーケットなどの足跡があります。
山の辺の道
山の辺の道(やまのべのみち)は、奈良盆地の東南、天理から桜井にかけて続く16キロメートルほどの古道です。記紀にも登場するほど古い道ですが、ゆるいアップダウンの道として整備されており、ウォーキングに最適です。
東に山を見ながらのんびり歩ける道には、歴史的なスポットが多く、日本最古とされる石上神宮(いそのかみじんぐう)や崇神、景行天皇陵、纒向遺跡(まきむくいせき)の箸墓古墳などの古墳群が点在。また相撲発祥の地とされる相撲神社もあります。
南側の起点は桜井市にある海石榴市(つばいち)で、万葉集にも登場する古代の巨大マーケットでした。16キロメートルある山の辺の道と並行して、JR万葉まほろば線(桜井線)が走っているので、疲れたら途中の駅で中断できます。
天理イチョウ並木
神道系新宗教の天理教の本拠地天理には、秋になるとおすすめの観光スポットが登場します。それはイチョウ並木で、天理市役所周辺をはじめとする道沿いにイチョウが植えられており、秋になると黄葉が美しく彩ります。
最も美しいスポットは親里大路で、天理市役所から天理大にかけてイチョウの並木が続きます。黄葉の季節になれば木が色づくだけでなく、落ちたイチョウの葉により、歩道が黄色いじゅうたんに様変わりします。
黄葉の見頃は11月上旬から末頃にかけてです。親里大路をそのまま山の方に進めば石上神宮に到達し、そこには樹齢300年といわれる大イチョウの木が。並木路の周辺は、天理の中でも人気の飲食店が点在します。
三輪明神・大神神社
大神神社(三輪明神)は、三輪素麺で有名な桜井市三輪にあるパワースポットです。神社のご神体は背後にそびえる三輪山です。創建年代がわからないほど古く、有史以前から崇拝していたとされ、古神道形態が残っています。
御神体が山のため、本殿が無いのが特徴。山の中に3つの磐座(いわくら)があります、拝殿は徳川家綱が再建したもので重要文化財に指定。また拝殿奥には鳥居の両脇に小さな鳥居が組み合わせた三ツ鳥居(三輪鳥居)があります。
御神体である三輪山の標高は467.1メートル。かつては禁足地として神官・僧侶以外は立ち入り禁止でした。しかし明治以降は、3時間以内の滞在や白いたすきの着用、山中の情報秘匿といった規定を守るなどの条件で、入ることが許されます。
6.【中部】斑鳩・郡山エリア
奈良盆地の西側にも見どころが点在しています。聖徳太子が本拠地としていた斑鳩(いかるが)の地があります。ここには世界最古の木造建築物とされる法隆寺の伽藍。飛鳥時代の様式を今に伝えています。
また、筒井順慶や豊臣秀長、江戸中期以降は柳沢氏が治めた大和郡山。ここには昔ながらの城下町の雰囲気が残されておりり、現在は金魚の町として賑わっています。そのほか「あじさい寺」と呼ばれる矢田寺も、すぐ近くの矢田丘陵にあります。
法隆寺
法隆寺は、聖徳宗(しょうとくしゅう)総本山の仏教寺院です。聖徳太子が本拠地としていた斑鳩の地にあり、605年に建てられました。当時は寺院の隣に斑鳩宮が建造され、聖徳太子がここで政務を行っていました。
世界遺産にも登録されている、境内にある西院伽藍の建物は大変古く、7世紀末に再建されたものが現存。世界最古の木造建築群です。6体の仏像が安置している金堂は最古の建築物のひとつで、飛鳥様式を現在に伝えています。
金堂の隣にある五重塔も、日本最古の塔で国宝に指定。また塔を支える心柱の下にあたる心礎では、仏舎利を収めています。そのほか入り口にあたる中門、金堂と五重塔を囲むようにある回廊も飛鳥時代のもので、国宝に指定されています。
大和郡山の町並み
大和郡山は奈良盆地の北寄りにある町です。戦国大名の筒井順慶(つついじゅんけい)が城を構えた時から城下町が形成され、秀吉の弟・豊臣秀長の時代に最も栄えました、江戸中期から明治維新までは柳沢氏が治めました。
大和郡山には、城下町時代を思わせる路地と古い町並みが残ります。そして金魚の名産地としても有名で、甲府から転封となった柳沢吉里が持ち込みました。明治以降に盛んになり、現在年間6,000万匹ほどの金魚を出荷しています。
金魚の町として、町中に金魚のモニュメントやキャラクターがあふれています。そんな城下町を見守っている大和郡山城跡は、追手向櫓(おってむかいやぐら)や追手門が復元されました。また、桜の名所としても有名で、日本さくら名所100選に選定されています。
矢田寺
大和郡山の西には矢田丘陵があります。穏やかな丘になっており、その中に矢田寺があります。天武天皇から勅願により679年に創建されました。現在は高野山真言宗の仏教寺院であり、正式名は金剛山寺です。
矢田寺に行くおすすめの時期は6月頃。それは通常あじさい寺と呼ばれるほど境内にはあじさいが多くあるからです。その数は60種類ほどで約10,000株近くが観られます。これは本尊の地蔵にちなんで、1965年頃から植え始めました。
あじさいの他にも、夏ごろには釈迦が入滅した際に、四方を囲んでいたという沙羅(シャラ)と同名のナツツバキの花も境内に咲いています。また塔頭のひとつ大門坊では、華道の容真御流(ようしんごりゅう)家元として活動しています。
7.【中部】宇陀・曽爾エリア
奈良の東側で、東和と呼ばれる地域は長谷寺や室生寺など、歴史ある寺院が山のふもとから中腹にかけて存在します。この地域は火山性の地域のため、洞穴や奇岩が多く、特に洞穴は龍神の住み家(龍穴)として信仰の対象となりました。
歴史ある寺院の近くにある宇陀(うだ)松山は、戦国時代から近代にかけて発展した町で当時の町並みが残されました。薬に関する資料館や最古の薬園が残ります。その東には秋のススキの光景がフォトジェニックな、曽爾(そに)高原があります。
長谷寺
長谷寺(はせでら)は、奈良時代に創建された真言宗宝山派総本山の仏教寺院です。場所は。壬申の乱の際に大海人皇子(天武天皇)が通った道(初瀬街道)沿い。大和から伊勢に向かうこの街道沿いにある初瀬(はせ)山の中腹です。
長谷寺の一番のみどころは、重要文化財にも指定されている登廊(のぼりろう)です。これは山麓にある仁王門から中腹にある本堂までを結ぶ屋根つきの回廊で、上・中・下の三廊に分かれ、合計399段を登って行きます。
登廊を上がったところに本堂があり、国宝に指定されています。礼堂(らいどう)、相の間、そして本尊の十一面観音像を安置する正堂から構成。現在の建物は1650年に完成しました。礼堂の前にある舞台からは絶景が見られます。
室生寺
奈良の宇陀市にある室生寺(むろうじ)は、女人高野との異名を持ちます。真言宗室生寺派の大本山でもある仏教寺院で、明治時代まで高野山は女人禁制だったのに対し、こちらは女人の参拝が認められていたためにこのような名前が付きました。
奈良時代末期に興福寺の僧だった賢璟(けんきょう)により創建さました。室生山の山麓から中腹にかけてが境内となっており、仁王門から鎧坂と呼ばれる急な石段を登ると、国宝の金堂と重要文化財の弥勒(みろく)堂があります。
金堂からも石段が続き、そこを登り切ってようやく国宝の灌頂堂(かんじょうどう)に到達します。ここは密教の灌頂という儀式を行う場所で、1308年に建立しました。その横には国宝の五重塔で、さらに上がると重要文化財の奥の院があります。
宇陀松山の町並み
宇陀市で、鉄道(近鉄)が開通する前の中心地は宇陀松山でした。戦国時代にこの地を治めていた秋山氏が築いた秋山城城下町として形成され、江戸時代以降は天領となって栄え、現在までその当時の町並みが残されました。
町の中心街は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。ここは京都・奈良と伊勢をつないでいた交通の要衝で、近代においても政治の中心として機能していたことから、さまざまな年代の名残を残します。
宇陀松山の地は薬に関する産業が盛んで、製薬会社の創業者数名が宇陀出身。町の中には薬の館があり、内部公開しています。また森野旧薬園は日本最古の薬園で、250種類の薬草が植えられています。ここからは宇陀の町並みが一望できます。
曽爾高原
宇陀松山の東にある山の中、三重県との県境付近にある曽爾高原(そにこうげん)は、倶留尊山(くろそやま)と亀山の西斜面に広がる高原です。38ヘクタールの敷地面積があります。平坦部の標高は700メートルです。
この高原は秋になると、中心付近にあるお亀池と呼ばれる湿地帯を除いて一面が背の高いススキに覆われます。幻想的でフォトジェニックな世界が広がり、多くの観光客が曽爾高原を訪れます。そして春になると山焼きが行われます。
夏の曽爾高原は、若くて背の低いススキの緑に囲まれた山肌が広がり、秋とは違った開放的な空間。ハイキングにも最適なスポットで、遊歩百選にも選ばれました。また日帰り温泉のお亀の湯があり、帰りにさっぱり汗を流せます。
8.【中部】橿原・葛城エリア
橿原・葛城エリアは、神武天皇を祀る橿原神社や飛鳥時代の都「藤原京」の跡が残ります。また江戸時代の建物が多数残されている寺内町の今井町も見ごたえがあり、これらのスポットは大和三山と呼ばれる200メートルに満たない低山に囲まれています。
そんな大和三山より4倍以上の高い、大和葛城山が西側にあり、ロープウェイで簡単に山頂に登れます。山頂は5月のつつじが最も有名で、その他秋のススキや冬の銀世界も侮れません。また山頂にはロッジがあり、宿泊可能です。
橿原神宮
橿原神宮(かしはらじんぐう)は、橿原市にある神社で、初代天皇の神武と皇后のヒメタタライスズヒメを祀っています。創建は新しく1890(明治23)年で、定期的に皇族方の参拝が行われる格式高い神社のため参拝者が多いです。
歴史的には、1940年に紀元2600年奉納式典、2016年には神武天皇2600年大祭が行われました。毎年4月3日に神武天皇祭があり、その前後の週末に春の神武祭という地域密着型の奉祝行事が行われ、当日はパレードもあります。
表参道の北側にある森林遊苑は開放感あふれる場所で、正面には大和三山のひとつ、標高199メートルの畝傍山(うねびやま)が見えます。野外ステージや休憩所が設けられ、また民俗学者で俳人でもあった折口信夫の歌碑もあります。
藤原京跡
藤原京(ふじわらきょう)は大和三山のひとつ天香久山(あまのかぐやま)の西に、飛鳥時代の694年から710年までの16年間存在した都です。それまでは宮と称される政治の中心だけでしたが、藤原京は初めて中国唐の長安を見習って作られた、本格的な都城でした。
研究によると、676年頃から造営が始まり、すべてが完成したのが704年でした。ところが6年後に平城京に遷都されました。その規模は相当巨大で、後に作られる平城京や平安京をしのぎます。現在も朱雀大路跡などの痕跡が保存されています。
中心となる藤原宮跡は、空間として保存されており、大極殿院閤門跡の場所には柱の一部が復元され、当時の建物の大きさが想像できます。また季節ごとに美しい花が咲いており、春の菜の花や秋のコスモス畑は必見です。
今井寺内町
大和三山のひとつ耳成山の南西、近鉄のターミナル大和八木の近くにある今井町は、古い町並みが残されています。室町・戦国時代に寺院を中心に形成された自治集落の寺内町は全国にありますが、今井町が最大規模です。
国の重要伝統的建造物群保存地区でもあり、日本遺産でもある今井町は東に飛鳥川が流れ、南北110メートル、東西600メートルの範囲です。婚範囲に650棟もの建物が密集し、504棟が伝統的建築物、うち70%が江戸時代の建造物です。
町の中には河合家住宅や今西家住宅、旧米谷家住宅などの古民家が公開されており、事前予約制などで受け付けています。また見学無料の今井まちや館や、町並みを再現したジオラマがある今井町並み交流センター華甍(はないらか)も必見です。
大和葛城山
今井町や橿原神宮の西側にあり、大阪との県境にあるのが、大和葛城山です。標高959メートルあり、複数の登山道も整備されていますが、山頂まで葛城山ロープウェイが通じており、気軽に山頂に登ることができます。
葛城山の山頂付近には、自然に群生したツツジが植生しており、5月上旬から中旬にかけて山を赤いじゅうたんに。また秋にはススキが山頂付近を黄金に覆いつくします。そして冬になれば雪が積もり一面銀世界が広がります。
葛城山の山頂にはロッジという宿泊施設があります。昼の絶景や夜景、そして星空も素晴らしい天空の地で静かな一夜を。またこの施設は日帰り利用で天然石温泉のお風呂や、奈良盆地が一望できる食堂でカフェや食事ができます。
9.【中部】飛鳥エリア
飛鳥は奈良時代の前飛鳥時代の政治の中心だったエリア。古墳時代の最末期とも重なるこの時代は、古墳の遺跡や伝来した仏教寺院の遺跡などが残っています。現在はのんびりした明日香村で散策をしながら眺められます。
明日香村にある遺跡の中には歴史的な大事件の現場も。蘇我入鹿が殺害された、乙巳の変(大化改新)の現場であった伝飛鳥板蓋宮跡があります。また甘樫丘(あまかしのおか)では明日香村の全容が一望できます。
飛鳥古墳群
奈良の明日香村は、仏教伝来の頃から藤原京に遷都するまで、飛鳥時代の政治の中心があった場所。古い遺跡が多く残る中で、一番の見どころは古墳群です。古墳時代の大規模なものよりも比較的近くまで見られるのが特徴です。
その古墳群の中でも最も有名なのが石舞台古墳。日本トップクラスの規模を持つ横穴式石室があることで有名。古墳の盛土がなく、石室が露出しており、古墳の構造上の様子が外部からでも見やすくなっています。
古墳文化の終末期の古墳として本来の形状に復元された高松塚古墳は、一般に公開され、女子群像などの壁画が有名です。同様にキトラ古墳も保存事業が進められている円墳で、当初の雰囲気に復元され石室の一般公開を行っています。
甘樫丘
明日香村の北側にある甘樫丘(あまかしのおか)は、標高148メートルほどある緩やかな丘陵です。この丘は日本書記にその記述があるほど古くから親しまれていました。また大化の改新前に蘇我入鹿・蝦夷親子の邸宅がこの丘にありました。
甘樫丘には万葉の植物園路と呼ばれる散策路が整備されており、その長さは2.3キロメートルほど。その周りには万葉集などで詠われている植物が40種類ほど植えられています。万葉の植物を観察しながらウォーキングできます。
そして甘樫丘の北側と南側には展望台があります。北側の甘樫丘展望台からは、橿原市内の藤原京や大和三山などの絶景が堪能可能。また南側の河原展望台からは明日香村の風景が見られ、古墳群や村の雰囲気が一望できます。
飛鳥寺
飛鳥寺(あすかでら)は、明日香村にある仏教寺院。現在は真言宗豊山派に属しています。元々は蘇我氏の氏寺法興寺で、蘇我馬子が創建しました。伝えられる資料等により複数の呼び名があります。718年に平城京に移転しました。
しかし、元々の寺院もそのまま飛鳥に残りました。鎌倉時代に落雷により建物を焼失後は規模が縮小。江戸の文政期になって援助により本堂が再興します。飛鳥時代の創建当時と比べて小規模ですが、当時からの本尊・飛鳥大仏は健在です。
かつて大きな伽藍を持っていたの飛鳥寺の遺跡は、発掘調査が行われ、西方遺跡が見られるようになっています。西門跡や金堂礎石、塔跡などが保存。またこの他にも明日香村には各地に当時の遺跡が保存されています。
10.【南部】吉野エリア
奈良の南部に位置する吉野は、桜の名所として有名です。吉野駅の周辺が下千本、ケーブルカーで上がった先にある中千本、さらに先には上千本、最も奥にあるのは奥千本。この4つのエリアは微妙に開花のタイミングが違います。
吉野は南北朝時代に南朝が置かれていた場所としても有名で、後醍醐天皇から後亀山天皇まで4代の天皇が半世紀余り政務をとっていました。そのほか役小角が創建した巨大な金峯山寺、吉水神社、水分神社、西行庵などがあります。
金峯山寺
金峯山寺(きんぷせんじ)は、吉野にある金峯山修験本宗の総本山です。役小角(えんのおづぬ)が創建したとされ、山岳信仰の聖地として多くの参詣者を集めました。吉野の入口にあたる門は黒門と呼ばれ1985年に再興したものです。
下千本からケーブルで上がった黒門の先にある仁王門(二王門)は、国宝で20.3メートルの高さを持つ二階建ての大きな山門。左右に重要文化財の仁王像があります。仁王門の先にあるのが本堂の蔵王堂でこれも国宝。高さ34メートルもある巨大な木造建築物です。
蔵王堂から西側の階段を下りると吉野朝皇居跡があります。ここは南北朝時代に南朝の皇居があった場所。現在は八角の三重塔である南朝妙法殿が建てられ、その周辺を皇居跡公園として整備しました。南朝4帝の歌碑もあります。
吉水・水分神社
吉水神社は、吉野の中千本にある神社です。金峯山寺の僧坊・吉水院だったものを明治時代の神仏分離政策により神社として独立しました。後醍醐天皇が行宮として用い、天皇崩御の後に後村上天皇が後醍醐天皇の像を奉安した歴史があります。
ところが明治時代に問題視され、寺院を廃止し後醍醐天皇の神社を新たに作る計画までありました。しかし奈良県などの働きにより分離することで決着しました。また豊臣秀吉や源義経のゆかりもあり、文化財を多数収蔵しています。
上千本にある吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)は、歴史が古く、天之水分大神(あめのみくまりのおおかみ)という水をつかさどる神が主祭神です。本殿が重要文化財に指定されているほか、国宝なども収蔵しています。
西行庵
西行庵は、吉野の奥千本にあります。これは平安末期に活躍した武士で僧侶、歌人でもあった西行が出家後に諸国のを気の向くまま滞在していた庵のひとつで、3年間ほど吉野のこの地で住んでいたと伝わります。
吉野駅から下千本、中千本、上千本と続き、最も奥にある奥千本の入口にある金峯神社(きんぷじんじゃ)から、山道を15分ほど歩いた先にその小さな庵があります。小さな東屋のような庵の中には西行像が安置しています。
吉野の西行庵に滞在西行は、苔清水(こけしみず)に関する歌を詠みました。その苔清水は現在も湧き出ていて、西行庵の手前にその場所があります。また西行庵は山の中ですが、庵の周りが開けた場所でロケーションも良いです。
11.【南部】天川エリア
天川エリアは、芸能の神としても有名な天河大弁財天社と女人禁制が残る修験道の山「大峯山」という、ふたつの強力なパワースポットがある秘境です。そして村全体が自然に囲まれ、凛とした空気が流れており、パワーに満ちています。
パワースポットのほかには、昔ながらの温泉街の雰囲気が残る洞川温泉、その温泉街の周辺にある鍾乳洞や名水の湧き出るスポットがあります。またみたらい渓谷は自然の宝庫で、エメラルドグリーンの水が美しいです。
天河大弁財天社
天河大弁財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ)は、天川村にあるパワースポット。宗像三女神の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が主祭神です。また弁財天としての顔もあり、日本三大弁財天のひとつでもあります。
この神社は芸能の神を祀っているため、芸能人関係者が参拝することが多いです。また拝殿の前に能舞台があり、ここでは定期的に能楽や狂言などの伝統芸能やアーティストによる演奏会などが行われています。
天河大弁財天社は、神から呼ばれないと行けないとの伝承があり、小説の舞台にもなったほど神秘的な場所。それにも登場する五十鈴という古来から伝わる珍しい縁起物があります。三つの球形が特徴で、魂の進化に関する意味があります。
洞川温泉
洞川温泉(どろがわおんせん)は、天川村の洞川地区にある温泉地。歓楽化されていない昔ながらの旅籠の雰囲気が残り、懐かしい射的屋や名水で作られたとうふ、アマゴの塩焼きがその場で食べられる魚屋などがあります。
洞川温泉は、いまだ女人禁制とされる大峰山の入口にあります。そのため本来修験者が修行のために山に登る前に利用した旅籠でもあり、今もその雰囲気が残ります。温泉街から橋を渡ると修験者の拠点、龍泉寺があります。
洞川温泉の温泉街の奥には、ごろごろ水と呼ばれる名水が湧き出ているところがあります、さらに奥に進めば女人結界門があり、この先は男性しか入れません。また温泉街のすぐ近くには関西最大級の面不動(めんふどう)鍾乳洞があります。
みたらい渓谷
みたらい渓谷は、天川村で大自然に触れらる場所です。エメラルドグリーンの淵や大小の滝など見ごたえと癒しが得られる空間。遊歩道が整備され、途中は吊橋もあって、橋の上から美しい水の流れが確認できます。
みたらい渓谷は、ハイキングコースが設定されてます。天川川合バス停から川沿いに遊歩道が続きます。みたらいと呼ばれる場所からは急な階段となり、それを乗り越えると光の滝などの絶景。さらに歩くと洞川温泉が見えてきます。
イチオシの季節は秋です。美しいエメラルドグリーンの水の周りには、紅く染まるもみじやカエデの姿が美しいです。また夏の新緑の季節もおすすめで、美しい川の前でバーベキューを楽しみながら、水遊びをすれば暑さを癒せます。
12.【南部】十津川エリア
奈良の最南部分にある十津川村は、日本最大の村として有名で、東京23区や琵琶湖よりも広いです。その大半は山の中で秘境といえる地域。公共交通は橿原市の八木から和歌山県の新宮までを結ぶ縦断バスで、日本一長い路線です。
十津川村の北部には生活用に架けられた谷瀬の吊橋があり、スリルが味わえます。中部には硫黄の温泉が湧き出る温泉地温泉(とうせんじおんせん)、南部には十津川温泉と上湯温泉があり、温泉が数多くある村でもあります。
谷瀬の吊橋
谷瀬の吊橋は、十津川村にある鉄線の吊橋で、上野地地区と谷瀬地区を結びます。生活用としては日本最長の297.7メートルあります。1994年までは日本一の吊橋でした。吊橋の下を流れる十津川との高さは、54メートルです。
橋の構造は、中央部に80センチメートルほどの板が並べられ、あとは30センチメートルおきにある横木と鉄線だけのシンプルな構造。足元から下にある谷がはっきり見え、さらに強風時は中央付近が揺れますから相当スリルがあります。
一度に渡れるのは20名までと決められており、観光シーズンの時には監視員が置かれ、一方通行になります。またこの吊橋は住民が架橋費用のの70%を負担して作られました。そのため住民に限り、バイク・自転車の通行が認められます。
十津川温泉郷
十津川温泉郷は、十津川村にある複数の温泉の総称です。十津川温泉のほか温泉地温泉、上湯温泉があります。水量と水質が大変豊富なため、全国初の「源泉かけ流し宣言」を行い、話題となりました。
十津川温泉と上湯温泉の泉質はほぼ同じで、ナトリウム・炭酸水素塩泉、十津川をせき止めて作られた二津野ダムの湖畔に点在しています。元禄時代に温泉が発見されましたが、ダムに水没することから湖畔まで引湯して利用しています。
湯泉地温泉は、泉質が少し異なり単純硫黄泉。そのため硫黄が湯煙に混ざってにおうのが特徴です。十津川温泉より歴史が古く、室町時代に開湯しました。数軒の宿泊施設のほかに、二軒の共同浴場があり、気軽に利用できます。
奈良のご当地グルメ
1.奈良漬
奈良漬は、奈良の有名な漬物です。きゅうりや白うり、生姜などの野菜を塩漬けにした後、新しい酒粕(さけかす)を、何度も漬け変えて作ります。歴史は古く平城京の跡地でも発見され、当時は粕漬けという名前でした。
古代は上流階級の保存食としての意味合いが強い粕漬けは、室町時代の頃には土産物として扱われるようになり、そのころから奈良漬け呼ばれます。本格的に普及したのは江戸以降で漢方医が幕府や奈良にくる旅人に売り込みました。
奈良漬は茶色をしていますが、酒粕の中に含まれる糖質、アミノ酸がメラノイジンという物質に変化して起きた現象です。長期保存が可能な食品として重宝されました。またウナギのかば焼きの箸休めとして定着しました。
2.三輪そうめん
三輪そうめんは、奈良県桜井市の三輪地方に伝わるそうめんです。またここがそうめん発祥の地。伝承では紀元前の記述がありますが、実際の歴史は遣唐使により伝えられた小麦栽培、製粉、製麺方法からスタートしました。
手延べ方式により作られる三輪素麺は、コシの強さと荷崩れしないのが特徴。製造から1年以上寝かせると「古物(ひねもの)」になります。また「神杉」「緒環(おだまき)」「瑞垣(みずがき)」「誉(ほまれ)」のランクがあります。
毎年5月になると天皇家や皇族方に三輪そうめんを献上します。そのため、品質にもこだわりがあり、サンプル検査などを実施。また三輪そうめんはゆで方も重要です。たっぷりのお湯で素早く茹でてください。その後すぐに水で洗います。
3. 柿の葉寿司
柿の葉寿司は、日本の各地域で食べられますが、奈良も名産地として有名です。海の無い奈良県では保存食にもなる柿の葉寿司は大変重宝しており、鉄道の主要駅でも販売。県内のいろんなところで積極的に柿の葉寿司を作っています。
柿の葉寿司の作り方は、一口くらいの大きさの酢飯を用意し、鯖や鮭の切り身をその上に乗せます。それを柿の葉に包んで押して作られます。通常柿の葉は食べません。定番は鯖と鮭ですが、ほかにも鯛、穴子、サヨリなども使います。
柿の葉寿司の歴史は江戸時代です。元々は紀州藩の漁師が魚を大和(奈良)に送る際に、防腐のために塩漬けにしますが、これが非常に塩辛いので、やわらげる目的で飯と一緒に食べました。江戸中期以降に酢飯が使われます。
4.大和の茶粥
大和の茶粥は奈良の郷土料理です。1,200年以上前から食べられた形跡・記録が残っています。「おかいさん」という名前で呼ばれ、日常食として食べられていました。江戸時代17世紀の中ごろには「奈良茶」として江戸でも売られます。
一般的な食べ方は、木綿の茶袋にほうじ茶(または緑茶)の粉茶を入れて炊きだしました。そこに食べ残した冷や飯を入れて一緒に炊き上げます。これは入れお粥と呼びます。また米から炊く茶粥もあり、これは揚げ茶粥と呼んで区別しました。
地域によって茶の種類や味などの違いがありますが、奈良の茶粥は水分が多く粘りの部分が少ないのが特徴。そのため口当たりがサラサラといただけます。そのほか他の穀物を入れて一緒に炊いたり、奈良漬けなどと合わせたりもします。
5.大和牛
全国各地にあるブランド牛のうち、奈良の大和牛(やまとうし)は、歴史が大変古いです。古代から大和の国は牛の飼育が盛んで、日本書記の神武天皇のところにもその記述が登場しました。そして鎌倉時代には大和牛の名前が登場します。
鎌倉時代には「国牛十図」として大和牛が描かれています。その後近代に入り、はいばら肉、宇陀牛というブランドが誕生しました。現在も大和牛は宇陀を中心としたエリアで生産。2000年以降、大和牛に統一して品質の向上に努めています。
奈良県内の黒毛和牛でオレイン酸が豊富など一定の条件をクリアした大和牛は、県内にある指定販売店で取引。飲食店も同様に奈良県内を中心に登録された店で食べることができます。一部の店は隣県の京都や大阪にも流通しています。
6.万葉おやき
比較的新しい食べ物に万葉おやきがあります。これは飛鳥にある懐石料理店が開発しました。地鎮祭などでつかわれる、神の依り代を意味する神籬(ひもろぎ)の名前がついた店です。今では飛鳥地方の郷土グルメとなっています。
そば粉と小麦粉をブレンドして発酵させた生地の中に、旬の野菜が入ります。生地の部分は程よく焦げ目が入るように焼き上げました。その味わいは、モチモチした生地と中に入っている野菜の甘みとの相性がぴったりです。
元々信州地方にあったおやきを元に試行錯誤の結果完成しました。季節の野菜のほかにもいろんなものを餡として利用。ねぎ味噌、明太じゃが、野菜ミックスなどです。缶製品は瞬間冷凍して旨みを凝縮しているので、お土産にも良いです。
7.飛鳥鍋
飛鳥鍋(あすかなべ)も、奈良の飛鳥地方の郷土料理です。飛鳥時代からの1,400年近くの歴史があります。元々中国の唐から渡来した僧侶が、寒さをしのぐために作った鍋で、その時はヤギの乳で作ったと記録されます。
飛鳥鍋は鶏ガラでだしを取り、そこに牛乳を加えました。そのあとは、醤油や味噌、砂糖で調味します。元祖牛乳鍋といえるこの鍋の煮込む材料は野菜と鶏肉です。現地の店では、地場産の旬の野菜と地鶏を使います。
出来上がった白濁したスープの味は、牛乳の臭みがありません。代りにベースとなるダシの上品な香りと味わいで、そこに野菜の旨みが加わりますから、甘みとコクが加わります。締めにはうどんが定番。冬のグルメとしておすすめです。
8.天理ラーメン
天理ラーメンは、知る人ぞ知るご当地ラーメンです。奈良県天理市のグルメで、1980年創業の天理スタミナラーメンの系統と1968年創業の彩華(サイカ)ラーメンの系統があります。いずれも天使市内の屋台が発祥で現在も営業中。
天理ラーメンも、他のラーメンチェーン同様積極的に展開をしているため、奈良県内はもとより他県でも店を出しています。特に天理スタミナラーメンは、海外のバンコクやヤンゴンにも出店しました。またインスタントラーメンもあります。
元々は天理市内にある、天理教本部に参拝に来る全国の信者や、天理大学の学生向けに作られたラーメンでした。濃厚でこってり味のスタミナが付く味となっています。ベースとなるダシは鶏ガラや豚骨で、そこに醤油たれを使用します。
奈良への主要エリアからのアクセス・所要時間
奈良県には、空港と新幹線の駅がありませんので、京都または大阪を経由して向かう必要があります。
新幹線の京都駅からは、JRの在来線(奈良線)もしくは近鉄京都線が奈良駅まで直通運転しています。JRは30分に1本の割合で、みやこ路快速が運行。近鉄には有料特急も出ているのでより快適に移動可能です。また近鉄は西大寺などを経由して橿原神宮をめざす電車も運行しています。
大阪国際空港(伊丹空港)から奈良へはリムジンバスが出ています。これは奈良駅を経由して天理駅に。また関西国際空港からも同様にリムジンバスが出ており、こちらは天理駅を経由して奈良駅に向かいます。また学園前や大和八木に向かう路線もあります。
また新大阪駅からは、一旦大阪駅に出て、大和路快速に乗る方法があり、天王寺駅を経由します。その先は法隆寺駅、郡山駅と奈良駅を経由して京都府の加茂駅まで行きます。あるいは、大阪難波駅からは近鉄奈良線の直通列車が生駒駅を経由して奈良駅に向かいます。そのほか上本町駅からは大和八木、桜井を経由して三重県に向かう路線が、阿部野橋駅からは、橿原神宮、飛鳥を経由し吉野に向かう路線があります。
詳細は、各交通機関のホームページにてご確認ください。
飛行機を利用する
各地から大阪国際空港(伊丹空港)までの所要時間
- 新千歳空港から:約1時間55分(ANA、JAL)
- 成田空港から:約1時間25分(ANA、JAL)
- 羽田空港から:約1時間15分(ANA、JAL)
- 福岡空港から:約1時間15分(ANA、JAL)
- 那覇空港から:約2時間5分(ANA、JAL)
各地から大阪国際空港(伊丹空港)までの所要時間
- 新千歳空港から:約1時間50分(ANA、JAL、ピーチ)
- 成田空港から:約1時間25分(ピーチ)
- 羽田空港から:約1時間5分(ANA、JAL)
- 福岡空港から:約1時間15分(ANA、ピーチ)
- 那覇空港から:約2時間10分(ANA、ピーチ)
新幹線を利用する
各地から京都駅までの所要時間
- 東京駅から:約2時間10分(新幹線のぞみ)
- 名古屋駅から:約35分(新幹線のぞみ)
各地から新大阪駅までの所要時間
- 広島駅から:約1時間30分(新幹線のぞみ)
- 博多駅から:約2時間30分(新幹線のぞみ)
関西空港・大阪空港・京都駅・新大阪駅・大阪難波駅・阿部野橋駅から奈良各地までの所要時間
奈良駅(近鉄・JR)
- 関西空港から1時間30分(関西空港交通・奈良交通バス・JRと近鉄巡回)
- 大阪空港から1時間10分(大阪空港交通・奈良交通バス・JRと近鉄巡回)
- 京都駅(JR)から40分(JRみやこ路快速)
- 京都駅(近鉄)から35分(近鉄特急)
- 新大阪駅から1時間(大阪駅経由大和路快速)
- 大阪難波駅から35分(近鉄特急)
大和八木駅まで
- 関西空港から1時間5分(関西空港交通・奈良交通バス)
- 京都駅から45分(近鉄特急)
- 大阪難波駅から31分(近鉄特急)
吉野駅まで
- 阿部野橋駅から76分(近鉄特急)
洞川温泉バス停まで
- 阿部野橋駅から2時間10分(近鉄特急下市口駅まで60分、奈良交通バス70分)
十津川温泉バス停まで
- 大和八木駅から4時間25分
奈良旅行で利用する空港や鉄道の駅を紹介
関西空港
関西国際空港は、大阪泉佐野市にある国際空港で、世界中の飛行機が発着する奈良を含めた関西の玄関口です。格安航空会社(LCC)のピーチの拠点でまた数多くのLCC路線が就航していますから、アジア圏から観光客が増加中です。
そして国内線も充実しており、日本の主要都市からの定期便が就航しています。大きな特徴として日本航空や全日空のほかピーチの直行便が多いのも特徴。その他ジェットスターなど複数のLCC路線が就航し便利になっています。
関西空港は鉄道駅と直結していますが、これは大阪、京都、和歌山に向かうのには便利ですが、バス以外で奈良に行くのはやや不便です。大阪の天王寺駅や南海難波駅で下車してそれぞれJR大和路線、近鉄奈良線に乗り換える必要があります。
大阪空港
大阪空港は国際空港ですが、事実上国内線専用空港です。日本航空や全日空の主要路線は大阪空港に発着します。住宅街の近くにあるため、7:00より早い時間と21:00以降の離発着が禁止され、遅い時間は利用できません。
大阪空港には、レストランやショッピングが楽しめるようになっています。空港から奈良に行くのに一番便利が良いのが直接行くリムジンバスです。ただ本数に限りがありますから、大阪の主要ターミナルに出て乗り換える方法もあります。
大阪空港はモノレールの駅と直結しており、千里中央駅で地下鉄御堂筋線と直通運転している北大阪急行に乗れば、新大阪駅や梅田駅(大阪駅)、難波駅あるいは天王寺駅に行けます。また1駅先の蛍池駅からは梅田駅に直通する阪急電車もあります。
京都駅
京都駅は新幹線の駅で、観光地京都の玄関となるターミナル駅です。JRの在来線は奈良線のほか東海道本線のほか山陰本線や湖西線の電車が行き来します。また近鉄京都線の京都駅とも直結していますから大変便利です。
京都駅の地下は京都地下鉄の烏丸線が通じており、竹田駅から近鉄京都線と接続しそのまま近鉄奈良駅方面に急行電車が直通運転しています。京都市内の各地点から奈良を目指すときにはこの地下鉄路線から向かうのも非常に便利が良いです。
京都駅ビルは地上16階建てとなっていてホテルや百貨店と直結しています。また大階段と呼ばれる場所がありここは171段の階段として、11階建てのビル分の高さがあります。この階段を使った、イルミネーションも評判です。
新大阪駅
新大阪駅は、新幹線の駅で大阪の玄関となるターミナル駅です。在来線の東海道線と交差するように作られており、西側には地下鉄御堂筋線とも接続します。新大阪駅からは関西空港に向かう関空特急はるかも停車します。
また、おおさか東線が開通し、ターミナルとしての機能がますます高まりました。将来的には北梅田駅やなんば方面への接続が計画されているなにわ筋線構想があります。ただ基本的に奈良に行く場合は、1駅先の大阪駅まで行く必要があります。
新大阪駅は、楽しいところが多くJRの改札内にある駅マルシェでのショッピングが楽しめます。グルメも大変充実しており、3階大阪のれんめぐり、2階アルデ新大阪、1階味の小路、御堂筋線側の新なにわ大食堂があります。
大阪難波駅
大阪難波駅は、近鉄奈良線の起点となる駅。奈良・生駒方面の特急や急行電車のほか、伊勢志摩や名古屋に向かう近鉄特急の起点でもあります。そのため奈良駅のほか南側にある大和八木駅に行くのにも特急が利用できます。
また、この駅は阪神なんば線と接続しており、直通電車も走っています。快速急行が神戸三宮から大阪難波を経由してならまで繋がっていますから、神戸方面からもアクセスが大変便利になりました。ただし特急は大阪難波駅が起点です。
大阪難波駅は地下にあり、地下街のなんばウォークと直結しています。その地下街を使って大阪メトロ・南海のなんば駅やJR難波駅とも地下街で結ばれています。隣の日本橋駅まで接続していて、地下街はグルメを中心ににぎわっています。
阿部野橋駅
阿部野橋駅は、大阪にある近鉄のターミナル駅で、天王寺駅の目の前にあります。ここは南大阪線の起点で特急電車が吉野まで通じています。この路線は橿原神宮駅や飛鳥駅が途中にあり、それぞれの観光スポットに行けます。
阿部野橋駅から特急に乗り途中駅の下市口駅で下車すると、天川村の洞川温泉行きのバスが連絡しています。パワースポットのある自然豊かな天川村までは、ここから70分で行けます。同じく途中にある飛鳥駅は急行のみ停車します。
阿部野橋駅は、近鉄百貨店と直結していますが、その百貨店は2019年現在日本一の高さを誇る、あべのハルカスビルです。最上階の展望台やあべのハルカス美術館など見どころ満載なので、時間があれば立ち寄りたいところです。
JR奈良駅
JR奈良駅は奈良市にある駅で、奈良公園よりならまちに行くのに便利な場所にあります。現在の駅舎は3代目。1934年に完成した2代目の駅舎は反対運動により取り壊されることなく、奈良市総合観光案内所として駅のすぐそばで機能しています。
JR奈良駅は高架駅となっており、大阪側からJR大和路線、京都側からはJR奈良線が通じており、ターミナルになっています。このほか同じ大阪に向かう学研都市線と、奈良盆地を南に向かう万葉まほろば線(桜井線)もあります。
万葉まほろば線は、奈良駅から桜井駅までを結んでいるローカル路線ですが、途中天理駅を通ります。また天理駅から桜井駅にある数駅と並行して古道の山の辺の道と並行しており、観光の利用価値が非常に高い路線です。
近鉄奈良駅
近鉄奈良駅は、近鉄電車のターミナル駅で大阪難波とその先阪神三宮駅からの直通電車が止まります。また京都駅と京都市地下鉄の路線とも直結しています。奈良県内では唯一の地下駅で、コンコースが広いのが特徴です。
近鉄奈良駅の上は奈良近鉄ビルとなっており、2009年に全面改装されました。奈良観光協会の案内書や複数のレストランが入居しています。2016年には地下一階がリニューアル。駅ナカのショッピングモールが拡充しました。
近鉄奈良駅から奈良公園は近く、地上に出て東方向に進めば、すぐのところに興福寺があります。やがて公園内に入るといきなり鹿が姿を現します。またならまち方面に行く場合は、駅からそのまま南に進めばすぐにアクセスできます。
大和八木駅
大和八木(やまとやぎ)駅は、橿原市にあり近鉄の大阪線と橿原線のターミナル駅です。大阪線は東西に通じており、大阪難波駅・上本町駅方面からの一部の特急列車が停車します。橿原線は京都方面から橿原神宮方面に南北に通じています。
大和八木駅の周辺は観光スポットがいくつかあります。一番近くにあるのが寺内町の今井町で隣の八木西口駅の方が近いですが、徒歩でも十分可能。また大和三山や藤原宮跡も近くにあり、橿原神宮駅も3駅先になります。
そしてこの駅からは、奈良の南部にある秘境十津川村に向かう交通の起点でもあります。この駅から紀伊半島を縦断して和歌山県の新宮駅まで通じているバス路線。このバスは、JR五條駅を経由し、十津川村にある各拠点にアクセス可能です。
奈良の年間イベント情報
冬:若草山 山焼き(1月の第4土曜日8時半点火)
若草山の山焼きは、奈良の冬の風物詩です。標高342メートルの若草山は厳重に管理されており、冬の期間は閉鎖しています。この行事はそんな立ち入りできないタイミング、毎年1月下旬の夜第4土曜日に行われます。
諸説ありますが、有力なのは東大寺と興福寺の領地争いでした。最終的に双方立会いの上で若草山を焼き払って和解したと伝わります。行事として定着したのは明治以降で、明治の後半ごろから夜間の行事になりました。
山焼きが始まる直前の10分間ほどは花火が打ち上げられるのが恒例です。その後山焼きが始まりますが、目に見てわかるように、火が広がるのが30分から1時間くらい経過後です。また当日の天候等により中止することがあります。
春:奈良・二月堂 修二会「お水取り」(3月1日 〜 14日)
春が始まるころには、奈良でお水取りと呼ばれる行事が行われます。これは東大寺の高台にある二月堂で行われ、正式名称は修二会(しゅにえ)と呼ばれるもの。これは年の初めに豊作を祈る祈年祭に対応した仏教行事です。
あらゆる仏教寺院の中でも、東大寺の物が特に有名で「お水取り」と呼ばれています。751年から752年ごろから始まったという文献も残っています。元々旧暦2月の行事でしたが、現在は新暦の3月1日に開始。つまり春の訪れに合わせて行われます。
練行衆という11人の僧によって行われ、前行として別火、その後本行となり、主に深夜の時間帯の儀式。有名なのががお松明で、二月堂の舞台で火がついた11本の松明を回す儀式が行われ、火の粉を浴びると健康になるとされます。
夏:ライトアッププロムナード と なら燈花会(毎年7月中旬から9月下旬頃)
比較的新しく始まったのが、奈良の夏の風物詩ライトアッププロムナードです。これは7月中旬から9月下旬にかけて行われ、奈良の有名な寺院をライトアップするもの。時間は18時から22時までで奈良の夜が明るくなります。
世界遺産をはじめとする歴史的に意義がある建物がライトアップされ、東大寺の大仏殿、中門、南大門、興福寺五重塔、猿沢の池、薬師寺、平城宮第一次大極殿、朱雀門、春日大社一の鳥居などがライトアップされます。
このタイミングで、8月に行われるのが、なら燈火会(とうかえ)です。1300年の歴史がある奈良らしい優しいイルミネーションとしてろうそくの明かりを使って行われます。LEDを使った派手なものと違い、しっとりと幻想的に楽しめます。
秋:鹿の角切り(10月の連休)
奈良の秋の行事として有名なのが、鹿の角切りです。奈良公園のシンボルとして天然記念物でもある奈良の鹿。所有者のいない野生動物ですが、10月の連休のタイミングを利用して鹿の角を切る行事が行われます。
この行事は鹿の習性と関係しています。毎年生え変わる角が完成している時は発情期で、雄鹿同士が雌を巡って争奪戦が行われます。大変気が荒く、観光客や周辺の住民がけがをするリスクが高まることで、行われるようになりました。
実はこの角切りの歴史は古く、江戸初期1671年から始りました。町民への被害や鹿同士が死傷することが多く、当初は興福寺が始めました。現在は春日大社が主催して境内の角きり場で行われます。ちなみにこの頃の角には神経がなく、爪のような存在です。
奈良観光の移動手段
電車
奈良県内は主に近鉄電車が充実しており、奈良市内から奈良盆地の各地域、盆地から南にある飛鳥や吉野まで鉄道を利用して移動することができます。宇陀市の榛原(はいばら)方面も近鉄電車の路線があり、大変便利となっています。
近鉄のほかには、JRの路線があり、山の辺の道沿いに万葉まほろば線が通じていて大変便利。また大和路線には法隆寺駅があり、法隆寺などの斑鳩への観光には重宝します。ただ近鉄と比べるとやや不便です。
バス
奈良県内のバスは、奈良交通のバスが県内を走っています。奈良市内の移動に大変便利な路線バスをはじめ、西ノ京や斑鳩といった観光スポットを結ぶ路線。また大和八木や橿原神宮方面、あるいは明日香村の周遊バスなどもあります。
そして奈良の南部へのアクセスはバスの存在が必要不可欠です。天川村洞川温泉行きのバスや、日本一長い路線といわれている紀伊半島縦断のバスが、秘境といわれている十津川村を結びます。また東京と奈良を結ぶ深夜バスもあります。
タクシー
奈良にもタクシーがあり、公共交通で行きづらいところに行くのに便利です。また観光客向けにフリーコースやおすすめコースを設定しているタクシー会社もあります。これは定額料金で利用できますから、メーターを気にせず安心して使えます。
レンタカー
奈良の観光にレンタカーを利用するのはおすすめです。奈良の町は中心部を除けば、のどかな雰囲気が残る場所も多く安心して走れます。特に郊外や山間部への観光に便利。歴史の拠点の間を車を使えば公共交通より時間の節約につながります。
お得なフリーチケット
近畿日本鉄道「奈良・斑鳩1dayチケット」
近鉄電車が発行しているチケットで、これは、関西の私鉄や地下鉄沿線から、1日間、近鉄のフリー区間が乗り放題となっており、さらに奈良交通のフリー区間と、奈良エリアの優待特典がついています。
【公式サイト】
https://www.kintetsu.co.jp/senden/Railway/Ticket/ikaruga/
1.阪急全線から
【料金】2,600円(子供用の設定なし)
【発売場所】阪急電車 梅田、十三、塚口、西宮北口、夙川、神戸三宮、豊中、石橋、川西能勢口、宝塚、淡路、茨木市、高槻市、北千里の各ごあんないカウンター
【セット内容】
- 阪急全線1日乗り放題(神戸高速線を除く)
- Osaka Metro1日乗り放題
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
2.阪神沿線から
【料金】1,850円(子供用の設定なし)
【発売場所】梅田・尼崎・甲子園・御影・神戸三宮の各駅長室および各駅改札口(大阪難波・神戸高速線の各駅および係員不在時を除く)、阪神電車サービスセンター(神戸三宮)
【セット内容】
- 阪神電車全線1日乗り放題(神戸高速線を除く、阪神なんば線経由)
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
3.Osaka Metro・大阪シティバス沿線から
【料金】1,650円(子供用の設定なし)
【発売場所】Osaka Metro全駅長室・駅構内定期券発売所、Subway Information Counter
【セット内容】
- Osaka Metro全線・大阪シティバス全線(一部路線除く)1日乗り放題
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
4.南海・泉北沿線から
【料金】2,060円(子供用の設定なし)
【発売場所】南海電鉄各駅(関西空港駅、高野山駅など一部の駅を除く)、泉北高速鉄道各駅窓口
【セット内容】
- 南海全線1日乗り放題(関西空港駅、高野山駅除く)
- 泉北高速全線1日乗り放題
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
5. 京阪沿線から
【料金】1,700円(子供用の設定なし)
【発売場所】中之島、淀屋橋、天満橋、京橋、守口市、寝屋川市、香里園、枚方市、樟葉、中書島、丹波橋、祇園四条、三条、出町柳の各駅
【セット内容】
- 京阪電車全線1日乗り放題(大津線、男山ケーブル線を除く)
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
6.京都市地下鉄沿線から
【料金】2,600円(子供用の設定なし)
【発売場所】京都市営地下鉄各駅、市バス・地下鉄案内所(交通局、京都駅前、コトチカ京都、北大路、烏丸御池駅)、定期券発売所(北大路、四条、京都駅前、竹田、六地蔵、山科、三条京阪、二条)
【セット内容】
- 京都市営地下鉄全線1日乗り放題 ※京都市バスにはご乗車になれません
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
7. 神戸電鉄沿線から
【料金】2,570円(子供用の設定なし)
【発売場所】神戸電鉄主要駅(湊川・鈴蘭台・谷上・有馬口・有馬温泉・岡場・横山・三田・志染ほか)、セブン-イレブン各駅店(神鉄新開地・湊川・鈴蘭台・北鈴蘭台・谷上・岡場・西鈴蘭台)、委託発売所、企画乗車券自動販売機
【セット内容】
- 神戸電鉄全線1日乗り放題
- 神戸高速線 湊川~新開地~阪神元町間1日乗り放題
- 阪神電車全線1日乗り放題(阪神なんば線経由)
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
8. 山陽沿線全線から
【料金】2,780円(子供用の設定なし)
【発売場所】明石・東二見・高砂・大塩・飾磨・姫路・網干の各駅、明石・東二見・高砂・飾磨・姫路の各定期券発売所、ご案内センター(明石)
【セット内容】
- 山陽電車全線1日乗り放題
- 神戸高速線 西代~阪神元町間1日乗り放題
- 阪神電車全線1日乗り放題(阪神なんば線経由)
- 近鉄線フリー区間1日乗り放題
- 奈良交通バスフリー区間1日乗り放題
- 奈良エリア内各社寺・施設で利用できる優待券
奈良のおすすめ旅行プラン10選
よくある質問Q&A
飛行機/新幹線/電車/車でどのくらいかかりますか?
奈良は空港が無いので、飛行機で行く場合は関西空港か大阪空港を利用することになります。新幹線も同様で京都駅か新大阪駅を利用してください。大阪から電車を利用する場合、最速が大阪難波駅からの近鉄特急利用で35分です。
そのほかの方法だと大阪からは1時間かかります。京都からの場合は近鉄・JR限らず40分くらいです。車の場合は大阪から高速利用で40分、京都からなら45分程度です。
奈良の気候はどうですか?
奈良の気候は温暖ですが、北部の大和盆地周辺は、気温の差が大きいのが特徴です。冬は寒くて、夏は暑いです。宇陀市のある大和高原周辺は、冬は厳しい寒さで積雪することもあります。
対して南部の山岳地帯になる十津川村、天川村周辺は夏の雨量多いのが特徴。冬は非常に厳しく、雪が降り積もります。
何泊くらいが最も楽しめるでしょうか?
奈良は見どころが多いので、日帰りだと非常に限られたところしか観光できません。最低でも2日、できれば3日あれば奈良各地の主要なスポットはすべて見渡せます。南部の山間地帯に行く場合は、基本的に宿泊が必須です。
奈良をするのに適した時期はいつごろなのでしょうか?
奈良のエリアによりますが、北部の奈良市内とその周辺であればとくに季節を意識することなく、四季折々の風情が楽しめます。ただ寒さが厳しい真冬と暑さがピークになる真夏は避けた方が無難です。
郊外の特に南部は冬期の期間は雪に閉ざされるので、おすすめできません。南部を旅するときは春から秋で、春の桜、新緑の初夏や紅葉の秋に行くとより楽しめます。
春/夏/秋/冬はどのように楽しむのがおすすめですか?
春は桜の名所がいくつかあり、とくに吉野は山一面がピンクのじゅうたんに覆われます。夏は暑さが厳しいところが多いですが、天川村のみたらい渓谷の川遊びなどは避暑としても有効です。
秋は、各地で紅葉が見られますが、藤原京跡のコスモス畑や天理の銀杏並木、曽爾高原のススキも見ごたえがあります。冬は南部の山間地帯は閉ざされます。ただし雪山の装備や心得があれば、比較的近いスポットで冬山が楽しめます。
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