パテック フィリップ四半世紀ぶりの新コレクションはスクエア型｜パテック フィリップ『CUBITUS（キュビタス）』

ラテン語で肘や前腕を意味する名前

　最高峰の時計ブランドのひとつに数えられるパテック フィリップから、今世紀に入ってはじめての新コレクションが誕生した。発表されたのはジュネーブでの新作発表会『ウォッチズ＆ワンダーズ』から半年後の2024年10月だったが、12月に日本でお披露目会が開かれたので、パテック フィリップ渾身の作を見に行ってきた。

　パテック フィリップの新コレクションは、1999年の『Twenty~4』以来四半世紀ぶりとなる。コレクションの名は『CUBITUS（キュビタス）』。ラテン語で肘や前腕を意味する言葉なので、腕時計の場合、ちょうど腕時計が置かれる場所である。パテックフィリップの公式サイトでは“まぎれもない真のエレガンス”と表現されている。

　このモデルの最大の特徴は、なんといってもスクエア型のケースが採用されているということだ。これには「スクエア型の時計をいつかは作らなければならない」というティエリー・スターン社長の意向も大きく影響しているようだ。

　とくに強く印象に残ったのは最上位モデルの『CUBITUS（キュビタス） Ref.5822P』だ。スクエアケースなので直線的ではあるが、ベゼルは八角形だ。文字盤も大型の日付表示やムーンフェイズ、スモールセコンドなどが配置されているにも関わらず、無駄を省いた感じでとてもバランスがいい。

　そのデザインは誰もが気づくと思うが、ブランドの大人気モデル『ノーチラス』を彷彿とさせる。それについてパテック フィリップに聞いてみると「ノーチラスの従兄弟という感じです」とのこと。言い得て妙である。

大きめサイズだが心地よく装着できる

　そして、促されるままに手に取ってみた。ケースサイズが45㎜で、かなりの大きさなのだが、腕に乗せてみるとそれほどの大きさは感じない。9.6㎜という薄いケースが大きさを和らげているのかもしれない。装着感も心地よく、標準サイズの男性なら快適に着けられるのではないだろうか。

　ケース素材はプラチナである。当然、重量感はあるのだが、薄くてバランスのいいケースと幅広いストラップによる効果もあってか、それほどの違和感を感じさせない。

　文字盤には『ノーチラス』や『アクアノート』同様、水平のエンボスパターンが入っており、スポーティーな雰囲気を演出している。インデックスは立体的で、中央に夜光塗料が入ることで暗所での視認性も十分である。ケースサイドのデザインも『ノーチラス』同様、特徴的である。

　また、6時位置には、パテック フィリップのプラチナモデルではお馴染みのダイヤモンドが埋め込まれている。しかも既存モデルはブリリアントカット。ダイヤモンドが1粒なのだが、この『CUBITUS（キュビタス）』にはバケットカットのものが装着されている。それだけでもスペシャルを感じさせてくれる。

　搭載のムーブメントは新開発の「Cal.240 PS CI J LU」。『CUBITUS（キュビタス）』のプラチナモデルのみに採用されているものだ。名作キャリバー240の派生形である。薄型ケースを実現するためにマイクロローターが採用されている。特筆すべきは、ビッグデイト表示の調整において、どの時間帯でも操作可能な機構が導入されている。いつでも時刻合わせができるというのは、それほど注目されてはいないが使ってみるととても便利な機能である。

　スクエアケースであることから、『ノーチラス』よりも少しエレガンスな感じがするが、装着感もよく、機械も含めて実用性を感じさせてくれた『キュビタス』。このモデルは紛れもいなく新しい“ラグジュアリースポーツ・ウォッチ”といえるだろう。

『CUBITUS（キュビタス） Ref.5821/1AR』

ローズゴールド＆ステンレススティールケースのコンビモデル。ブルー・ソレイユ文字盤と2トーンのケースが美しいコントラストを作り上げている。搭載の「Cal.26-330 S C」は、ストップ・セコンド機能を備えた自動巻きである。自動巻き（Cal.26-330 S C）、18Kローズゴールド×ステンレススティールケース、直径45㎜（10-4時位置） 30m防水970万円

『CUBITUS（キュビタス） Ref.5821/1A』

シーンを選ばず活用できるブレスレットに、シンプルな機能。文字盤には最新のトレンドカラーともいえる「オリーブグリーン・ソレイユ」が採用されている。自動巻き（Cal.26-330 S C）、ステンレススティールケース、直径45㎜（10-4時位置） 30m防水　653万円