カントール集合とその性質
区間 から「線分を三等分して真ん中を取り除く」という操作を無限回繰り返して得られる集合をカントール集合という。
カントール集合という不思議な集合を紹介します。
カントール集合とは
カントール集合とは
まず を三等分して真ん中を取り除くと, となります。
さらにそれぞれを三等分して真ん中を取り除くと,
となります。
これを無限回繰り返して得られる集合をカントール集合と言います。
区間 内の実数 がカントール集合に属する の三進数展開に が登場しないと表現することもできます。
実際,三進数展開の小数第 位に(はじめて) があらわれるものは 回目の操作で切り取られます。
カントール集合の次元
カントール集合の次元
カントール集合は自己相似(フラクタル)です。
自分自身を 倍に縮小したものを つ持ってくれば自分自身を再構成できるので,フラクタル次元(ハウスドルフ次元)は です。線分は1次元なので,線分よりは中身スカスカという感じです。
注:ハウスドルフ次元については,→コッホ曲線の次元,曲線の長さなど
カントール集合の測度
カントール集合の測度
カントール集合のルベーグ測度(大きさのようなもの)は です。区間 から一様ランダムに実数を つ選んだとき,その実数がカントール集合に属している確率は というイメージです。
毎回の操作で「線分の長さの和」は 倍されていくので,無限回繰り返すと「線分の長さの和」は に収束する。
カントール集合の濃度
カントール集合の濃度
カントール集合の濃度は実数の濃度と同じです。ルベーグ測度は であるにもかかわらず,実数全体との間に全単射が存在する(実数と同じくらい要素がたくさんある,カントール集合は非可算集合である)のです。
注:濃度については→集合の濃度と可算無限・非可算無限
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実数全体の集合と開区間 の間には全単射が存在する。 を適切に縮小,平行移動すれば全単射を構成できる。
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開区間 と閉区間 の間には全単射が存在する。 ベルンシュタインの定理から分かる。→ベルンシュタインの定理とその証明
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閉区間 とカントール集合の間には全単射が存在する。 カントール集合に属する実数 に対して, の三進数展開の を にしたものを二進数表示に持つ実数 を対応させる。例えば,
(三進数表示) に対して,
(二進数表示) を対応させる。
自分はフラクタルについてあまり詳しくありません。他にも面白いネタがあればご一報ください。