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対数螺旋(等角螺旋)の長さと面積

二次元極座標平面上で r=aebθr=ae^{b\theta} と表される曲線を対数螺旋(または等角螺旋,ベルヌーイの螺旋)と言う。

対数螺旋を題材に,極座標において面積,曲線の長さを求める方法を復習します。

対数螺旋のグラフ

以下,a>0a > 0 とします。

対数螺旋のグラフ

  • 対数螺旋という名前がついていますが,式に使われているのは対数ではなく指数です。

  • bb が正のとき,θ\theta が増加すると rr も増加します。bb が負のとき,θ\theta が増加すると rr は減少します。 つまり,bb の符号によって渦巻きの向きが決まります(図は bb が負のとき)。

黄金螺旋

  • 対数螺旋からいくつもの等比数列を作ることができます。

  • 例えば,90=π290^{\circ}=\dfrac{\pi}{2} ごとに螺旋を区切っていくと,それらの点の原点からの距離 rra,aebπ2,aebπ,a,ae^{\frac{b\pi}{2}},ae^{b\pi},\cdots となり公比が ebπ2e^{\frac{b\pi}{2}} の等比数列をなします。

  • この等比数列の公比が黄金比 ϕ=1+52\phi=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2} であるような対数螺旋を黄金螺旋と言います。

  • つまり,黄金螺旋とは b=2πlog1+52b=\dfrac{2}{\pi}\log\dfrac{1+\sqrt{5}}{2} であるような対数螺旋です。

対数螺旋の面積

以下,α<β\alpha <\beta とします。

対数螺旋 r=aebθr=ae^{b\theta} において θ=α\theta=\alpha から θ=β\theta=\beta までに動径が掃く面積は,

a24b(e2bβe2bα)\dfrac{a^2}{4b}\left(e^{2b\beta}-e^{2b\alpha}\right)

極座標における面積公式: S=12αβr2dθS=\dfrac{1}{2}\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}r^2d\theta を使います。 →極方程式の面積公式と例題

証明

求める面積は,

12αβr2dθ=12αβa2e2bθdθ=a22[e2bθ2b]αβ=a24b(e2bβe2bα)\dfrac{1}{2}\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}r^2d\theta\\ =\dfrac{1}{2}\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}a^2e^{2b\theta}d\theta\\ =\dfrac{a^2}{2}\left[\dfrac{e^{2b\theta}}{2b}\right]_{\alpha}^{\beta}\\ =\dfrac{a^2}{4b}(e^{2b\beta}-e^{2b\alpha})

対数螺旋の長さ

対数螺旋 r=aebθr=ae^{b\theta}θ=α\theta=\alpha から θ=β\theta=\beta までの部分の長さは,

a1+b2b(ebβebα)\dfrac{a\sqrt{1+b^2}}{b}(e^{b\beta}-e^{b\alpha})

極座標における曲線の長さの公式: αβr2+(drdθ)2dθ\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{r^2+\left(\dfrac{dr}{d\theta}\right)^2}d\theta を使います。 →曲線の長さを計算する積分公式(弧長積分)の記事末参照

証明

drdθ=abebθ\dfrac{dr}{d\theta}=abe^{b\theta}

なので求める曲線の長さは,

αβa2e2bθ+a2b2e2bθdθ=a1+b2αβebθdθ=a1+b2b(ebβebα)\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{a^2e^{2b\theta}+a^2b^2e^{2b\theta}}d\theta\\ =a\sqrt{1+b^2}\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}e^{b\theta}d\theta\\ =\dfrac{a\sqrt{1+b^2}}{b}(e^{b\beta}-e^{b\alpha})

a=b=1a=b=1 とすると長さは

2(eβeα)\sqrt{2}(e^{\beta}-e^{\alpha})

となります。 β\beta を固定して α\alpha\to -\infty とすると長さの極限値は 2eβ\sqrt{2}e^{\beta} となります。

つまり,対数螺旋の真ん中の部分は無限回ぐるぐる回っているが,その部分の長さは有限の値を取るという訳です。

他にもいろいろな螺旋があります。例えばアルキメデスの螺旋,双曲螺旋などです。