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友愛数の意味と友愛数を生み出す公式

友愛数の定義

(自分自身を除いた)約数の総和=相手となる正の整数のペアのことを友愛数と呼ぶ。

つまり,mm の約数の総和を S(m)S(m) と書くとき,友愛数とは

  • S(m)m=nS(m)-m=n かつ S(n)n=mS(n)-n=m が成り立つペア (m,n)(m,n) のことです。
  • S(m)=S(n)=m+nS(m)=S(n)=m+n が成り立つペア,とも言えます。

友愛数の例

(220,284)(220,284) は友愛数である。

証明1

約数を列挙して足せばよい。

  • 220220 の約数(から 220220 を除いたもの)を足すと,
    1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=2841+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
  • 284284 の約数(から 284284 を除いたもの)を足すと,
    1+2+4+71+142=2201+2+4+71+142=220

それぞれ相手と一致する。

証明2

約数の総和を求める公式を使うと,

  • 220=22×5×11220=2^2\times 5\times 11 の約数の総和は,
    (1+2+4)(1+5)(1+11)=504(1+2+4)(1+5)(1+11)=504
  • 284=22×71284=2^2\times 71 の約数の総和は,
    (1+2+4)(1+71)=504(1+2+4)(1+71)=504

となり,S(220)=S(284)=220+284S(220)=S(284)=220+284

友愛数を生み出す公式

Thābit ibn Qurra theorem

nn22 以上の整数とする。

p=3×2n11p=3\times 2^{n-1}-1
q=3×2n1q=3\times 2^n-1
r=9×22n11r=9\times 2^{2n-1}-1

に対して p,q,rp,q,r がすべて素数なら (2npq,2nr)(2^npq,2^nr) は友愛数。

例えば n=2n=2 とすると p=5,q=11,r=71p=5,\:q=11,\:r=71 となりすべて素数です! このとき,2npq=220,2nr=2842^npq=220,\:2^nr=284 になります。これはさきほどの例で見たように友愛数です。

n=3n=3 の場合は r=287=7×41r=287=7\times 41 となり素数ではないので友愛数は得られません。

n=4n=4 の場合は (17296,18416)(17296, 18416) という友愛数が得られます。

この定理を証明してみましょう。約数の総和を計算するだけですが,計算がやや大変です。よい練習になります。

証明

n2n\geq 2 より,p,q,r3p,q,r\geq 3 である。よって,p,q,rp,q,r が素数のとき 2,p,q,r2,p,q,r はすべて異なる素数である。

約数の総和を地道に計算すると,

S(2npq)2npq=(1+2++2n)(1+p)(1+q)2npq=(2n+11)×3×2n1×3×2n2npq=9×22n1(2n+11)2n(3×2n11)(3×2n1)=9×23n9×22n19×23n12n+3×22n+3×22n1=9×23n12n=2nrS(2^npq)-2^npq\\ =(1+2+\cdots +2^n)(1+p)(1+q)-2^npq\\ =(2^{n+1}-1)\times 3\times 2^{n-1}\times 3\times 2^n-2^npq\\ =9\times 2^{2n-1}(2^{n+1}-1)-2^n(3\times 2^{n-1}-1)(3\times 2^n-1)\\ =9\times 2^{3n}-9\times 2^{2n-1}-9\times 2^{3n-1}-2^n+3\times 2^{2n}+3\times 2^{2n-1}\\ =9\times 2^{3n-1}-2^n\\ =2^nr

もう片方も,

S(2nr)2nr=(2n+11)×9×22n12nr=(2n+11)×9×22n19×23n1+2n=9×23n9×22n19×23n1+2n=9×23n19×22n1+2n=2n(9×22n19×2n1+1)=2npqS(2^nr)-2^nr\\ =(2^{n+1}-1)\times 9\times 2^{2n-1}-2^nr\\ =(2^{n+1}-1)\times 9\times 2^{2n-1}-9\times 2^{3n-1}+2^n\\ =9\times 2^{3n}-9\times 2^{2n-1}-9\times 2^{3n-1}+2^n\\ =9\times 2^{3n-1}-9\times 2^{2n-1}+2^n\\ =2^n(9\times 2^{2n-1}-9\times 2^{n-1}+1)\\ =2^npq

このように,証明は簡単ですが「どうやって見つけたの!」って感じの定理です。

完全数や社交数との関係

「自分自身を除いた約数の総和」を S(n)S'(n) と書くことにします。つまり,S(n)=S(n)nS'(n)=S(n)-n です。

  • 友愛数の定義式は S(m)=n,S(n)=mS'(m)=n,S'(n)=m と書けます。このとき,S(S(m))=mS'(S'(m))=m となります。
  • S(m)=mS'(m)=m となる正の整数 mm のことを完全数と言います。→完全数の一覧と性質
  • つまり,SS' について完全数は「周期1」,友愛数は「周期2」という感じですね。
  • 周期が 33 以上の場合,現れる数字たちを社交数と言います。例えば,(12496,14288,15472,14536,14264)(12496,14288,15472,14536,14264) は社交数です。S5(12496)=12496S'^5(12496)=12496 になります。

ちなみに,Thābit ibn Qurra theorem を一般化した「オイラーの法則」というのもあるようです。オイラーはどこにでも出てきますね。