例題
例題
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D={(x,y)∈R2∣0≦x+y≦1,0≦x−y≦1} とする。
∬D(x2−y2)dxdy
を求めよ。
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次の積分を計算せよ。
∬R2e−x2−y2dxdy
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D={(x,y,z)∈R3∣x2+4y2+9z2≦1} とする。
∭Dz2dxdydz
を求めよ。
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実数 p,q に対して Γ(p)Γ(q)=B(p,q)Γ(p+q) を証明せよ。ただし B(p,q) はベータ関数,Γ(p) はガンマ関数とする。
1の解答
直接計算するのは手間がかかりそうです。しかし積分範囲と被積分関数をよく見れば,どのように置換すればよいのか気付けます。
解答
u=x+y,v=x−y と置換する。
このとき x=2u+v,y=2u−v となり,ヤコビアンを計算すると
∣detJ∣=∣∣21⋅(−21)−21⋅21∣∣=21
となる。よって積分は
∬D(x2−y2)dxdy=∬D(x+y)(x−y)dxdy=∫01∫0121uvdudv=81
である。
2の解答
解答
x=rcosθ,y=rsinθ と置換する。
このときヤコビアンは r である。よって積分は
∬R2e−x2−y2dxdy=∫02π∫0∞re−r2drdθ=2π[−21e−r2]0∞=π
である。
最初の式を変形すると
∬R2e−x2−y2dxdy=(∫−∞∞e−x2dx)2
となります。ここからガウス積分の公式
∫−∞∞e−x2dx=π
が得られます。
3の解答
解答
x=rsinθcosϕ,y=2rsinθsinϕ,z=3rcosθ
(0≦r≦1,0≦θ≦π,−π<ϕ≦π)
と置換する。
3次元極座標のヤコビアンにならってヤコビアンを計算すると,∣detJ∣=6r2sinθ となる。
よって積分は
∭Dz2dxdydz=∫01∫0π∫−ππ54r4cos2θsinθdrdθdϕ=54∫01r4dr∫0πsinθcos2θ dθ∫−ππdϕ=54⋅51⋅32⋅2π=572π
である。
4の解答
定義を確認しておきましょう。
B(p,q)=∫01xp−1(1−x)q−1dxΓ(p)=∫0∞xp−1e−xdx
解答
Γ(p)Γ(q)=∫0∞xp−1e−xdx∫0∞yq−1e−ydy=∫0∞∫0∞xp−1yq−1e−x−ydxdy
ここで x=uv,y=u(1−v) と置換する。
ヤコビアンは
∣detJ∣=∣∣(v1−vu−u)∣∣=u
となる。
積分区間を求める。
x+y=u より 0≦u<∞ である。
また,v=x+yx となる。x,y は非負であるため 0≦v≦1 である。
※ 実際,0 から 1 の間の値を連続的に取ることも証明できる。
こうして
Γ(p)Γ(q)=∫0∞∫0∞up+q−2vp−1(1−v)q−1e−u×ududv=∫0∞up+q−1e−udu∫01vp−1(1−v)q−1dv=Γ(p+q)B(p,q)
と計算される。
面積・体積の計算
xy 平面上の領域 D に対して
∬Ddxdy
により D の面積を計算できます。
同様に xyz 空間内の領域 D に対して
∭Ddxdydz
により D の体積を計算できます。
球の体積
原点中心,半径 R の球を B とおきます。B の体積は
∭Bdxdydz
で与えられます。
xyz 座標から3次元極座標の座標変換をして計算しましょう。ヤコビアンは r2sinθ であるため,
∭Bdxdydz=∫0R∫0π∫02πr2sinθdϕdθdr=∫0Rr2dr∫0πsinθdθ∫02πdϕ=34πR3
と計算されます。